文化祭パニック
7
目が覚めたら夢だったら良かったのに。
これほど強く願いを込めて寝たことは無いのに。
もの凄く、もの凄く、期待を込めて寝たのに・・・・・・。
結果は無残だ。
明けて欲しくない夜が明けた時、人はどうしたら良いのだろう。
現実に目をそむけて逃げ出すのか。
それとも、開き直って果敢にも挑むのか。
逃げ出せたらどんなに良かっただろう・・・。
目をそむける事も開き直ることも挑む事も出来ない己は、ただただ流されるままに漂うしかない。
情けない。
自分はこんなにも情けない男だっただろうか。
非現実的な世界を垣間見るどころか、どっぷりと浸かって大抵の事には耐えられるし立ち向かうことも出来るようになったと思ったのは気のせいだったのだろうか。
結局は身内が一番恐ろしいとは皮肉なものだ。
秋の柔らかな日差しが差し込む気持ちの良い部屋で、虚ろな目をした一護が項垂れていた。
俯きがちのどんよりした気分のままようやく起き出した一護は、登校すべく準備を始めた。
「いらっしゃいませ〜〜〜♪」
他校生と思われる女の子二人組が教室の戸をくぐった途端に、キンキンと響く無駄に明るい裏声が教室内に響き渡った。
ビックリした女の子達が入り口で固まってるのにもお構いなしに、声を発した当の啓吾は傍迷惑な接客を続けた。
別に、啓吾が裏声を使って接客する必要は全く無いのだが(なんせハ○トリ君)メイド姿の水色に対抗して、なぜかオカマちっくな忍者を演出している。
原作のファンにしてみたら大変なイメージダウン。というか作品への冒涜だろう。
とにかく気持ちの悪い物体がそこには居た。
「お二人様ですか〜?それではこちらのお席にどうぞ〜〜!」
オカマな忍者に案内された女の子二人組は、多少顔を引きつらせながらも言われるままに席に着く。
この忍者は不気味だけど、店自体は綺麗で、仮装した他の店員は結構様になっていて楽しい。特にメイド姿の男の子(?)は女の子顔負けの可愛さだ。もしかして自分より可愛いかも・・・・・。
いやいやいや!あたしの方が本物の女なんだし勝ってるだろう・・・・多分。
お互いに心の中で同じようなことを考えているのだろう。目をパチパチさせながら目を見合わせて笑った。
「ご注文は何に致しますか〜?」
「えっとぉ・・・、あたしはオレンジジュースとスコーンで」
「あたしは紅茶とショートケーキでお願いします」
「かしこまりました〜〜!只今お持ちしますので少々お待ちくださいねぇ〜vvv」
あくまでも不気味な忍者が居る。
何故か放置されているのは、いつもなら止める水色が面白がっているのと、一護がいつにもまして不機嫌そうなオーラを振り撒きながらボーっとしているからだ。
野放しにされた啓吾の暴走は止まらない
一護たちのクラスはかなり繁盛していた。
まだ始まって30分しか経ってないのに既に8割近い席がうまっている。
それもこれも文化祭開始時に、仮装したまま校門前でパンフレットを配布したクラスメイト達の努力の賜物だろう。
目新しさのない仮装喫茶でも、実際に衣装を着た生徒達を見ると、多少の興味が湧くのも当然というものだ。
パンフレット配りの提案をした実行委員は鼻高々で上機嫌だった。
そんなクラスメイト達の明るさとは裏腹に、一護の機嫌は下降していくばかりだった。
あと30分もしたら一心たちが来てしまう。
妹達はいいとして、問題は一心だ。あの無駄に五月蝿い親父がどんな騒ぎを巻き起こすのか。そして衣装を着た自分にどんな反応をするのか。考えただけで溜息が出る。
早く追い出そう。これだけ混んでいれば追い出すのはそう難しくないかもしれない。
なるべく良い方に考えようとする健気な一護が哀れだ。
そんな可哀想な一護の苦悩も、周囲からしてみれば怖いだけだ。本人に自覚はないかもしれないが、眉間に皺が寄ってるのは当然として、唇を真一文字に引き締め、入口を眼光鋭く睨みつけている様は正に凶悪。
タキシードという正装姿が更に一護に迫力を与えている。
開店から今まで、立っているだけで何もしていない一護に突っ込める者が誰も居なかったのも道理だろう。
たとえ、そんな一護の方が啓吾以上に営業妨害してるんじゃないの?って思っていたとしても・・・・。
誰でも皆、自分の身が可愛い。
入れ替わり立ち代りやってくる客に、突っ立ったままだった一護も客を怖がらせながら接客せざるを得なくなった頃、とうとうその時が来てしまった。
「いらっっしゃ〜・・・ぃ・・・」
「うおーーーい!一護ーーーっっ来たぞぉーーー!!!」
誰よりも早く客に反応する啓吾の声を全く無視して、一心の辺り憚らない大声が店内に響き渡った。被害は甚大で、入口近くに座っていたカップルはあまりの大声に鼓膜が破れそうだった。思わず耳を押さえたがその後も暫くは残響がグワ〜ングワ〜ンと木霊していたとかいないとか・・・。
最悪・・・・・。一番最初の一護の感想はこれだった。
わかっちゃいたけど慣れたくはない。
親父の恥ずかしい真似に何度泣かされたか。今まで何度下らないことで大喧嘩をしてきたことか。
それも大概は親父の一人勝ちで、いつも一護は苦汁を舐めてきた。
あんなあほな親父一人にいつまでも勝てない自分が不甲斐無い。何故勝てないんだろうか?
軽く現実逃避していた一護を急にもの凄い衝撃が襲う。
次の瞬間、突っ立ったままの一護に一心が抱きついていた・・・・・・・・。
文化祭パニック7話目です。
PCの不調によりいつUP出来るのかは不明ですが(>_<)
ようやく話を当日に進めることが出来ましたvvv
おせぇよ!とお怒りの声が聞こえてくるようですがどうかご容赦を;;;
亀のようなあたしにはこれが精一杯(凹)
何話まで続くのかあたしにも分かりませんが(・・・)お付き合いいただけると嬉しいですv
自分で書いててなんですが、啓吾のハッ○リ君がお気に入りです(笑)
気持ち悪いけどつい見ちゃうみたいな変な生き物ってちょっと惹かれますよねv(←あたしだけ?)
そして、とうとう来ちゃった黒崎家一同。どんな騒ぎを起こすんでしょうかねぇ(苦笑)
一護が可哀想だと本当に楽しいですv(えっ!?)
ではでは、また8話目でお会いできたら幸いです♪
2006.3.30