文化祭パニック







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文化祭前日。
空座高校では午前中の授業が終わり、昼食を済ませた生徒たちが文化祭準備のため最後の頑張りを見せていた。
さっきまで教室として機能していた空間が、徐々に喫茶店やお化け屋敷、占いの館(誰が占うのか?)など、様々な出店へと変貌していくさまは、中々興味深いものがある。
まあ、それをゆっくり眺める余裕のある生徒は、当然ながら一人も居ないのだが・・・。







空座高校では、毎年生徒会主催のミス&ミスターコンがあり、二日目の夜に開催される後夜祭と共に二大イベントとなっている。
どちらも一般人がチケットなしでも普通に入場参加できるので、毎年かなりの盛況振りを発揮している。
但し、後夜祭に関しては一般人で参加できるのは高校生以上の人間に限られ、小中学生の入場は親がついていても出来ない。
自然、高校生の参加が一番目立つことになる。
出会いを求めて・・というのが一番多い参加理由らしい。
迎え入れる空座高校生の中にも、校内では彼氏彼女を作れず空しい青春を送っている生徒達が、特にこの後夜祭を一番の楽しみにしているらしい。所詮高校生。若さが有り余っているのだろう。


ミス&ミスターコンだが、こちらもまた異様な盛り上がりを見せることで有名だ。
登録者は空座高校生徒のみに限られているが、投票するのは外部者にも許されている。
自薦他薦は問わずに登録できるため、本人の知らないところで出場が決定している場合も少なくないようで、
時々泣きそうになりながらステージに立っている者(特に男子生徒)を見ることが出来る。
衣装は自由。自作の衣装でも普段着でも良い。
但し露出の多すぎるものは事前に生徒会のチェックが入り没にされる。
あくまでも高校生らしい姿での勝負を求められるのだ。
故に水着審査もない。
見てる側にとっては残念だが、参加者には嬉しい限りだ。特に男子。
男子生徒の場合、殆どが他薦のため、只でさえ出たくないコンテストに参加の上、
水着まで着させられて人前に出るなんて言語道断。冗談ではないと言うところだろう。


ミス&ミスターコンが開催されるのは一日目の午後。
二日目は後夜祭。二日間にわたり来場者を獲得するための生徒会の知恵だ。
お陰で空座高校の文化祭は両日とも大盛況。かなりの収益がもたらされている。






テーブルセッティングから内装。火は使えないがカウンターキッチンの準備も整った一護たちの教室では、疲労しながらも何かを成し遂げた顔をした生徒達が自分たちの仕事の成果に満足していた。
職人気質の生徒が多かったのか、衣装はもとより内装もかなり凝った出来になっており、自己満足にとどまらない店内がそこには広がっていた。


赤と黒を基調にしたクラシックなエスニック風の内装。
机を4〜6個使ってテーブルを作り、その上には黒のテーブルクロスがかけられ、アクセントに赤い布を縦に長く垂らし、真ん中にはガラスの皿に入れられたキャンドルが浮いている。
高級感溢れる店内はかなり居心地が良さそうだが、そこで従事する者達が浮いている。
秋○原のメイドカフェもどきの格好をした男子生徒に、中世の貴婦人のような格好をした女生徒。
挙句の果てには忍者ハ○トリくん姿の男子生徒・・・・。
非常にミスマッチ。目がチカチカすること間違いなし。
異空間がそこにはあった。
そんな不自然な空間にもめげずに元気な生徒達。
その中でも特に五月蝿いのはいつもながらの啓吾だった。


「いやぁ〜〜〜〜いよいよ明日だね〜〜〜!!!楽しみだな〜〜☆」

「そう?」

「なんだよ〜水色は楽しみじゃないのかよーーー!?文化祭だぞー!祭りだぞーーーっっ!!!二日間も授業がなくてバカ騒ぎ出来るんだぞ〜〜♪」

「いや、そうじゃないでしょう。文化祭は学校行事だからね。あんまり羽目を外しすぎると怒られるよ」

「詰まんないこと言うなよぉー!折角の文化祭なんだから目一杯楽しむのが筋ってもんだろー!なあ?一護ーーー☆」

「いや別に・・・」


ここ最近の精神的肉体的疲労のために虚ろな目をした一護が気のない返事をする。
いっそのこと大雨でも降って中止になって欲しいぐらいだ。


「えぇーーーーっ!一護までそんな事言うのかよー!?楽しもうぜ〜〜!クラスの喫茶店も楽しみだけど、俺達には別のイベントもある事だしさー!」

「別の?何だそれは」

「あれ?一護に言ってなかったっけ?」

「だから何を?」

「ミスターコンだよ!ミスターコン!!」

「啓吾!一護には内緒にしようって言ったじゃないか!」

「あっ;;;そうだったっけ;;;」

「そうだよ。もう。事前に言っちゃったら一護は嫌がるに決まってるじゃないか」

「うっ・・・そうだった;;;」


全く仕方がないなぁ啓吾はと呆れながらため息をついている水色。
うわぁーーどうしよう!言っちゃったよーー;;;などと頭を抱えながら悶えてる啓吾。
そんな二人を横目に一護は呆けていた。
ミスターコン?ミスターコンってなんだ?俺の耳は今何を聞いたんだ?


ミスターコン!!!!!


「おいっ!啓吾、水色!!!何だよそれっミスターコンって!!!」

「あぁ・・・その・・ね、登録したんだよ。ミスターコンに。僕と啓吾と一護で」

「聞いてねぇぞ!そんなの」

「そりゃそうでしょ。言ってないもん一護には」


すっかり開き直ってしまった水色が淡々と答える。


「なんで勝手にそんなことしたんだよっ!」

「面白そうだから」


にっこり笑っていう水色が怖い。
何となく逆らえない雰囲気がこういう時の水色にはある。
優しい顔で笑う人間には逆らわない方がいい。
どこから得た教訓なのか、一護にはその事が身に沁みていた。


「とにかく、明日の午後1時からはミスターコン出場だからね。絶対にキャンセルは出来ないからそのつもりでいてね」

「・・・・・・・・ぃ・・」

「何か言った?」

「・・・だって仕事はどうするんだよ。喫茶やらなきゃならねぇじゃねえか・・」

「ああ、そのことなら大丈夫。その時間帯は僕らはシフト外して貰ってるから」

「・・・・・」


一護に反論の余地はなかった。
押しの強い相手に逆らえない自分が嫌になる。いつからこんな性格になってしまったのか・・・・。
強烈な個性に押されているうちに流されることに慣れてしまったのか・・・。


早く過ぎ去って欲しい文化祭にまた一つ重荷が増えた。
長く辛い試練に負けそうになる。虚と戦ってる方が何百倍もマシだ。
心からそう思う一護は不謹慎だろうか?

























文化祭パニック5話目です。
すっすみませーーーん;;;;;;;
4話目からなんと7ヶ月も経ってしまいましたーーあわわ;;;
ホントに本当に申し訳ないです(>_<)
PCがぶっ壊れたりしたけどそんな事は言い訳にもならないですね(殺)
しかもまだ終わってないし・・・・(爆)
でも、続きは今度こそなるべく早くUPしますのでお許し下さい;;;
次はいよいよ文化祭当日ですv
一護の羊(生贄ですか?)っぷりに注目してください(苦笑)
すっかり押しの弱い一護になってしまって、一護のイメージ壊し捲くりですね(汗)


2005.10.9