文化祭パニック
4
秋晴れの爽やかな一日の始まり。
誰もが清々しい朝を満喫し、仲の良い友達と語り合い、楽しそうに登校してる微笑ましい風景の中、
一人だけどんよりと暗く疲れ果てた様子の一護。
心なしか背中を丸め腰を庇うように歩いているのは気のせいではないだろう。
傍から見ればヒヨコが歩いているような足取りがなんとも言えない哀れを誘う。
太陽が黄色く見える・・・・。
昨夜の白哉の仕置きは容赦が無く、明け方の4時過ぎまで一護を翻弄し、一護がどんなに泣いて赦しを請うても全く取りあって貰えなかった。
何で自分がこんな目に・・・。
不可抗力としか思えないようなことが原因で仕置きをされるのは今ひとつ納得出来ない。
ついぼやきも出るというものだ。
しかし白哉が相手ではどんな言い訳も通じない上に本気で抵抗できないので、一護の分はどうしても悪くなる。
ただ、もう少し加減をして欲しいのだ・・・。
「おっはよ〜〜一護〜〜!!!」
校門に入った所で背後から恐ろしく大きな声とともに啓吾が駆け寄り、一護の背中をバンッと叩く。
只でさえヨタっている一護がその衝撃に耐えられるはずも無く、
『うおっ;;;』と呻き声を発し、思わずその場に蹲ってしまう。
「どっどうしたんだっ一護!!俺そんなに強く叩いちゃったか??」
思わぬ反応にびっくりした啓吾が、焦りながら一護に声をかける。
「・・いっ・・いや大丈夫・・・。バランス崩しただけだ」
未だ衝撃から立ち直れないながらも、深追いされたくない一護は啓吾に異変を気付かれないように平然を装いつつ答える。
まさかやり過ぎで腰が痛いなどとは、どんなに口が裂けても言えない。
一護は、取り繕うように殊更力いっぱい背筋を伸ばして歩き始める。
腰が痛い・・・。
教室にやっと辿り着いて席に着いた時には心からホッとした。
暫くは座っていられる。
・・・・・かと思いきや、既に登校していた水色と啓吾による一護への怒涛の質問攻撃が始まった。
その他のクラスメイト達は、昨夜の白哉と一護の会話に毒気を抜かれており、触らぬ神に祟りなしと、我関せずといった態度を取っている。
それでも耳がダンボになっている者は少なくなかったが・・・。
二人の好奇心旺盛な質問に辟易しながらも、あの白哉の言動は確かに聞かずにはいられない物だったと思うと、
無下に怒鳴りつけて蹴散らすのも気まずい。
それにしても・・・と一護は思う。
不思議な事にクラスメイトはともかくとして、水色や啓吾までが、一護の兄の白哉という存在に疑問を抱いていない。
確かに昨日までは水色も啓吾も白哉の事を知らなかったはずなのに。
やはりこれも白哉の仕業なのだろうが、本当にどうやっているのだろう?
昨日の白哉にそんな操作をする時間があったとは思えないのに・・。
時間が無かった理由に考えが及んでしまい、一人顔を赤くする一護。
誤魔化そうとするあまり、通常よりも更に怖い顔になってしまう。
耳をそばたてていた何人かのクラスメイト達がその形相に気付いて、さささっと去っていく。
答えづらい質問にほとほと参っていた一護を救ったのは、始業の鐘とともに現れた担任の登場だった。
やっと落ち着ける・・・。
しかしそんな憩いの時間も束の間。
啓吾と水色は休み時間の度にしつこく一護に付き纏い、同じような質問を繰り返す。
朝から疲労困憊でホッとしたい一護にとっては僧侶の苦行のように感じられる。
「それにしても、一護の兄ちゃんすっげぇ迫力だったなーー!」
「ホントだよね。今まで聞いたことなかったけど仕事は何やってるの?」
「翻訳家?なんだか格好良いなーー!!」
「しかし、7時半に帰って来ないからって迎えに来るのって凄いな・・・」
「一護って兄ちゃんに愛されちゃってるんだな〜〜〜vvv」
いい加減にして欲しい・・・。心からそう願う一護だった。
その騒ぎも、放課後になると文化祭の準備に追われてそれどころではなくなったのか、二人とも一護を構わなくなった。
・・・・・・・・・このまま全てを忘れてくれれば良いのに。
大体白哉も白哉である。
記憶を変えられるなら昨夜の出来事全てを完璧に消し去ってくれれば良いのに、何故こんな一護にとって恥かしさしか感じられない出来事を放って置くのだろう。
約束を守らなかった一護へのお仕置きの一環なのだろうか・・・。
だとしたら肉体的にも疲労している一護にとっては、精神的にも打ちのめされるため、ものすごく効果的な仕置きである。
流石白哉。抜かりない手腕である。
文化祭まで後2日。
一護たちのクラスでも、昨日までは、まだ安心できなくて必死の形相をしていた生徒達が多かったが、準備もほぼ終わり、あと1日あればなんとか間に合うという見通しがついて、全員の顔に笑顔が浮かぶようになっていた。
あとは授業が午前中しかない明日の午後に飾り付けをすれば準備は万全だ。
フロア担当者の衣装もほぼ完成し、試着してお互いの姿を見ては、
爆笑したり感心したり情けなくて涙目になったりして遊んでいた。
一護の新郎の衣装も完成した。
黒のモーニングコートに白のベスト。ウイングカラーのシャツにアスコットタイ。黒とグレーのストライプのパンツ。
と、文化祭用とは思えないほど本格的なもので、衣装担当者の拘りようが窺い知れる。
一護だけでなく他の生徒達の衣装も同様で、来年以降は学校の備品にして、使用したいクラスに貸し出したら良いかもしれない。
それ程の出来だった。
ちなみに、水色と啓吾もフロア担当で、水色が濃紺の膝丈スカートにフリルつきの白のエプロン。
・・・・つまりメイド服で、啓吾が忍者○ットリくんである・・・。
遊びつつも着実に作業は進み、あっという間に時間は過ぎていき、そろそろ7時になろうかという時間。
一護は1分おきくらいに時計を見ては、そわそわとし始める。
早く帰らなければ本当に白哉が来てしまう。というか来るのは確実なので、出来ればクラスメイト達の目に触れないうちに学校の敷地を出てしまいたい。
それには早ければ早いにこした事は無いのだ。
昨夜黒崎兄弟の痴話喧嘩としか思えないような会話を聞いていたクラスメイト達は、もうあんなものは見たくないとばかりに、そわそわする一護の様子に気付いくやいなや、解散の声掛けを率先して行なった。
「じゃっ・・じゃあ今日はもう終わりにして帰ろうか!」
「そ・・・そうだね・・。先生にもまた怒られちゃうしね;;;」
「帰ろう帰ろう!」
急に帰り支度を始める生徒達。一部クラスメイトの疑問を無視して事は進む。
一護もなんとか帰れることになってホッと一安心。この調子なら、今日は白哉の迎えよりも早く学校を出ることが出来る。
しかしそんな一護の読みは甘かった。
校門を出ようとした一護たちの目の前には白哉。
思わず項垂れる一護の姿が哀れを誘う・・・・。
「あーーっっ、一護のお兄さんだーー!本当に迎えに来たんだーー!!!」
全員が思ってはいても、けして口には出せない発言を恐れ気もなく発する啓吾に、目に見えて慌てたのは周囲のクラスメイト達。
余計な事は言うなと必死な思いを込めた視線を一斉に啓吾へ送る。
クラスメイト達のそんな気持ちには全く気付かなかった啓吾も、
シベリアの永久凍土よりも冷え冷えとした白哉に一瞥にされ、息を呑んで身を縮める。
白哉は視線だけで外野を黙らせると、一護に向き合う。
「今日は約束の時間に間に合いそうだな」
「だからっ・・・ちゃんと帰るって言っただろっっ!」
「そうは言ってもお前の言葉は信用出来ないのでな」
「うぅぅ・・・」
前科があるだけに、強く反論できない一護は、口をギュッと引き結んで悔しげに唸る。
「帰るぞ」
白哉の促しに、抗うのは無駄と諦め、一護は白哉の横に並んで歩き出す。
あまりの恥ずかしさに水色や啓吾をはじめクラスメイト達の顔がまともに見られない。
「じゃ・・・帰るわ・・・」
軽く手を上げながら、俯きがちに小さな声で挨拶する一護に、誰もが声も出ない。
昨日の現場に居たクラスメイト達は、デジャヴのような光景に呆気に取られ、始めてみるクラスメイト達は愕然とこの光景に見入っていた。
目が離せないのだ・・・。
それはそうだろう。
こんな早い時間に男子高校生を迎えに来る兄なんてそうそう(というより絶対に)居ないのだから・・・。
文化祭まであと1日。
明日の帰りは一護とは別にしようと全員が心に決めた瞬間だった。
文化祭パニック4話目です。
文章を纏める能力が無いって辛いですね(>_<)
話が無駄に長くなりすぎて自分でも呆れちゃいます;;;;
何を1日づつ書いてるんでしょうか私は?
しかも最後なんて3話目と殆ど一緒だし(爆)
兄様本当に迎えに来ちゃってストーカーみたいだし(殴)
一体どうやって収拾着けたら良いのか、
自分でも良く分からなくなってきましたよ;;;;;
どうしよう・・・。
とりあえずあと2・3話は続きそうです(えっ?!)
2005.3.3