文化祭パニック







2


「ただいまー」

「腹減ったーー。遊子ーー!飯食わせてくれーーっ!!」

一護は帰って早々に玄関先から居間にいるだろう遊子に訴える。

直ぐにパタパタと足音がして遊子が玄関先までやって来た。

「おっ・・お帰り、一護お兄ちゃん」

「おう、只今。遊子、悪いけど早く飯食わせてくれ」

「う・・うん。それは良いんだけど・・。あのね、白哉お兄ちゃんが・・・」

遊子が言い終わる前に白哉が玄関先までやって来た。

今日も文化祭の準備に追われた一護がやっと帰宅できたのは、夜の8時半に近い時間だった。
昼以降何も食べずに作業していた為、さすがの一護も空腹で思考が麻痺し、周りの情況を冷静に判断する事が出来なかった。

そのために帰って来た一護を玄関先で出迎えた白哉が、怒りの形相をしている事に気付く事が出来なかった。
怒っているとはいっても、他人には全くその変化は読み取れないだろう。普段から無表情な白哉は滅多に感情を表に上らせる事は無い。

「今何時だと思っているんだ?」

「へっ?」

「今何時だと聞いている」

「何時って、8時半だけど・・・」

「『8時半だけど』では無い。門限は7時だと言ってあるはずだが?」

空腹で思考が麻痺していた一護も、やっと白哉が相当怒っていることに気付いた。
そんな白哉に、文化祭の準備で暫く忙しくなるので門限は守れないと伝えてあった筈なのに、と一護は焦る。
大体、男子高校生の門限が7時っていうのはどう考えてもおかしい。今時女子高生でもそんな時間に門限を設けられている者はまず居ないだろう。

とはいっても黒崎家での決まりは絶対で、破ったものには罰が下るのが当たり前。遊子や夏梨にもそれぞれ守るべき門限や決まりごとが課せられており、破った時には一心による暑苦しく鬱陶しい愛情たっぷりのスキンシップが待っていた。
遊子や夏梨は主に一心が、一護は白哉が、その任(お仕置き)に当たっている。

子供達には不評だが大人二人には大好評のシステムである・・・。

この日も白哉の機嫌を損ねた事を悟った一護は、自らの潔白を証明する為に一生懸命理由を説明しようとした。

「ぶ、文化祭の準備が中々進まなくて・・・。俺だって好きで遅くまで作業してるわけじゃ無いんだけど・・・、皆が作業してるのに俺だけ帰るわけにはいかないだろっ!?それに、文化祭まであと3日だし、そうすればちゃんと門限までに帰って来る事が出来るから!」

「言いたい事はそれだけか?」

「う・・うんっ・・」

「ならば言うが、最初お前は7時には間に合わないが、居残りが許されてるのは7時までだから、遅くても7時半には帰る事が出来ると言ったな?」

「う・・ん・・・・」

「それにも拘らずそんな時間に帰って来たのは最初だけで、ここ1週間は毎日8時過ぎにならないと帰って来ない。一体どういう訳なんだ?」

「だっ・・だから、それは作業が遅れてて間に合わないから仕方なく・・・」

段々と声が小さくなっていく一護に構わず白哉は更に追求する。

「7時までしか居残りが許されていないのに何故帰宅が8時を過ぎるのだ?学校側の規則を無視して居残っているのだろう?それは許される事なのか?大体門限を大幅に過ぎているのに全く悪びれないその態度はどうなのだ?」

「うっ、そ・・それは・・・悪い事だと思ってる・・・けど・・・」

「けど?けど何なのだ?」

全くの正論を説く白哉に一護の反論も続かなくなり、最後には黙ってしまった。

「黙るという事は自分が悪いという事を認めるのだな?」

「一護?」

「・・・・・ごめんなさい。明日からはちゃんと7時半には帰ってくるからっ・・」

「それでもまだ門限を破るつもりなのか?」

「だって!それは作業があるから仕方ないだろ!?」

一護の必死の訴えに白哉は暫し沈黙し、再び口を開いた時には、あっさりと一護の訴えを了承した。

「分かった。では明日からは必ず7時半には帰るのだぞ」

「おう!サンキュー兄貴!」

空腹のまま玄関先で白哉との戦いを展開していた一護は、こんなにもあっさりと白哉の怒りが解け、更には門限破りの了解を得られた事に疑問を抱く事が出来なかった。

普段の一護ならここまで怒りを顕にしている白哉が、たったこれだけの問答で許してくれるなどあり得ない事に気付いただろう。しかし、この時の一護にその余裕は無かった。
この事が、後にクラスメイトをも巻き込んだ被害に拡大したのは翌日の事だった・・・・。

















文化祭パニック2話目です。
帰宅の遅い一護に白哉の怒り爆発!
の巻でした;;
家の白哉は一護に超過保護ですvv
だってどんな変態に狙われるか分かりませんもんね!
何時だって気が抜けない兄様です;;;
それにしても、遊子を無視して会話する二人。
せめて玄関先からは移動しろよ!
と突っ込みたいところですね;;
まだ続きます。

2005.1.20