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ジューシー


ふわり、ふわりと舞う黒蝶。
出自と能力等を見れば「成る程、その名に相応しい」と思えるのだが。
舞う様だけ見ていると大層可愛らしく、儚げとさえ思えた。
一護は今、この地獄蝶に導かれて、瀞霊廷の中を歩いている。
この黒蝶が居なければ忽ち迷って次元を彷徨う事になるから、まさに命綱だ。
本当なら今頃夢の中の筈なのに。
一護は唇を尖らせて仏頂面をしていた。
膨らんだ頬が子供みたいだ。
そもそも何故、こんな所に居るのか。
それは。




「黒崎サーン。お宅のちっちゃなぬいぐるみがですね、お店の壷を壊しちゃったんですけど、どうします?」

そう浦原に呼び出されたのが夜の9時。
どうするもこうするも勘弁して貰う他に道は無い。
バイトもしてない高校生が、自由に使える金は限られている。
そしてこの壷は、その金額を遥かに越えていた。

「じゃあ、仕方ないっスね。お使いに行ってくれたら勘弁してあげましょう」

そうして浦原愛用のステッキで、身体から押し出された一護。
その身体に入れられたコンが、眉尻を下げてしょんぼりと一護を見てくる。

「…悪い…一護…」
「全くだ。門限過ぎたこんな時間に。親父にバレたら俺が殺されるんだぞ」
「…だって…」
「明日、チャドの刑だからな」

「い――――――――や――――――――――!!」

と言うコンの悲鳴をバックに、一護と浦原の会話は進む。

「んで、お使いって?」
「この包みをね、ある人に届けて下さい。簡単でしょ?」

浦原の手にあるのは掌より少々大きい位の包み。
大きさに見合ってかなり軽い。200グラムって所か。

「ある人って?」
「お迎えが来るから着いていけば判ります。ああ、ほら来た」


現れたのは漆黒の揚羽蝶。









それが一時間ばかり前の出来事。

既に街中の様だが街灯など無く、月明かりだけが足元を照らす。
行けども行けども塀ばかりで、何かの施設か余程大きな屋敷が周りにあるのだろうと知れる。
街灯の無い薄明かり。
何故あの黒蝶は紛れてしまわないのだろう。

角を曲がると小さな門があった。
60度位腰を曲げねば一護も通れない。
よく見ると戸は開いていて、黒蝶はするりと中に入って行く。
一護もそれに従った。

「遅かったな」

待ち構えて居た様に、声を掛けられる。
いきなりで悲鳴を上げなかった自分にホッとしたのも束の間。
一護は声の主を確かめると、箱を放り門に背を向ける。

「じゃ!確かにお届けしましたので!」

駆け出す為に宙に浮いた右足は、地面を踏む事は出来なかった。
首根っこを掴まれて、僅かに一護の身体が浮く。

「こら、そう急いて帰る事もないだろう」
「そ、だ、けどっ…!」
「けど、何だ?」
「……………ぅぅっ…」

結局帰る事など出来ない。

青白く凍った月の明かりが降る中を、一護と白哉は並んで歩く。
週にニ・三回、多い週では四・五回も人間界に来ていた白哉だが。
六番隊隊長としての責務が忙しいのか、この所人間界に来る事は無かった。
こうして顔を合わせるのは、幾日振りになる事か。
それがどうと言うことは無い。無いのだけれど。
隣に白哉の顔があると言うだけで、一護はなんとなく目のやり場に困った。

「なんだ?」
「や、こ…ここってあんたンち?でけーな」
「いや、ここは六番隊隊舎だ。執務室を見てみるか?まだ恋次が居るぞ」
「…まだ仕事中だったんだ?」
「遠征があったので事務業務が滞った。明日からはお前の元へも行ける」

白哉は足を止めると近場にあった木に、一護の身体を押し付けくちづけた。
腕から抜け出そうとする一護だけれど、木と言う壁に押し付けられ、白哉と言う檻は狭まってきて身動きが取れない。
押し退けようとする腕も、捕らえられてしまった。

「っ…っ…やっ…やめっ…」

六番隊だと言われれば、確かに見覚えが一護にはあった。
場所が判れば、あの長かった塀も頷ける。
あの門は裏口だったのだろう。
この辺りも隊舎から離れた場所な様だ。
周りにあるのは、自宅の二階程の高さのある通路のみ。
時間帯が時間帯なだけに、人気は全く無い。
だからと言ってそんな事が安心材料になる訳もなく。

「やめろってっ…こっ…此処を何処だとっ…」

往生際悪く、一護の腕は白哉を押し返そうとする。
突っ撥ねるその腕は、あまり力が入っていないようだが。

「そうだ、何処だか考えた方が良い。見られたいなら別だがな」
「…んっ…なっっ…」
「此処は五番隊と六番隊の真中だ。どちらからも離れた場所だが、騒げば宿直が様子を見に来る。宿直以外の者も…な。どうする?私はそれでも構わぬぞ」
「っ…ひぅ……むっ…」

一護の両手が自分の口を押さえた。
少しでも人に聞かれないように。

「それで良い」

だけど抵抗も出来なくなった。
白哉の舌が指の隙間を割り入り、きゅっと結んだ唇を舐める。
そして隙間を舐めながら、右手が一護の胸元に潜り込んだ。
冷たい手に触れられて、一護の身体がピクリと跳ねる。
死覇装が軽く開けられた所為で、皮膚に冷たい空気が当たった。
その所為で。

「…勃っているな」
「っ……んっ…」

切れ長の目に覗き込まれて、一護はカアッっと赤面する。
違うんだ。寒さで縮こまっただけなんだ。
そんな弁解は口に出せない。
白哉が尖った乳首を弄るので、下手に口を開けば声が周りに漏れてしまう。

「ふっ……っ…んっ…」

尖った先を爪でクリクリと。
優しく、それは優しく。
面白そうな、意地悪そうな、光を持った目とは裏腹に。
これでは寒さを理由に出来ない。
一護の目は理性の力が弱まり、その分情が見え始めた。

「…っん……っ?…」
「そのままでいろ」

白哉は一護の耳元でそっと告げると、その身を屈めた。
滅多に見れない白哉の牽星箝を見下ろしていた一護だが、すぐにそんな場合では無い事に気付く。
だがもう遅く、腰紐はシュルリと解かれた。

「やっ…めっ……っ」

無遠慮に袴が下げられて、冷えた空気が下肢に刺さる。
露わになった太股がキュッと締まり、ペニスを軽く揺すった。
反応を見せかけていた一護のペニスだが、寒さで縮こまってしまう。
その様をマジマジと見つめて、白哉はフッと笑った。
そして、一護の左足を持ち上げ袴を抜き取ってしまうと、自分の肩に乗せる。
白哉を跨ぎ掛ける様な形だ。

「やだっ…さむっ…っ」

真冬に半裸では当然だ。
一護の身体はガタガタ震え、筋肉が竦む。
股間に顔を密着させられる恥かしい状態なのに、身を捩る事も出来ない。
はあ~っと白哉が一護の股間に息を掛ける。
それがとても暖かく感じて、思わず股間が前に迫出てしまう。
先程まで勃っていた名残で、若干の角度を持った一護のペニス。
ツンと白哉の鼻先を突いてしまう。

「やんちゃだな。こちらは暫くお預けだ」
「ひゃっ…っ…んっ…っ」

慌てて口を押さえ直す一護。
白哉の身体で大きく広げられた足。
その奥、窄んだ後孔に、白哉が口を付けてきたのだ。
猫の子を持つようにペニスをひょいと持ち上げて。
優しく舌で、窄まりを解しに掛かる。

「~~~~~~~~~~っっ!」

こんな所でこんな恰好でこんな体勢で。
逃げ出したい位恥かしくて、頭に血が上る。
今にも声が漏れそうで。
震える両手に更に力を込める。
だけど苦しい。自分の為に口を押さえているのに、邪魔に思えて仕方ない。

「んっふっ…っ…んっ…んっ…っ」
「これを持て。」
「…っ…むっ…り…っ…」
「無理なものか。片手で事足りるではないか。これを持ってこちらを見ていろ」

泣きそうな目で、一護は白哉を見た。
全ては見えない。
自分の股間の下から、白哉の端整な顔が見える。
カ―――――――ッっとなった。
同時に何かが背筋を走る。
それに釣られて、一護の手はおずおずと下肢に向かう。
自分自身のペニスへと。

「ん、ふっ…うっ…うっ…ンっ…」

くちりと、濡れた音が立つ。
一護は白哉の邪魔にならないように、自分でペニスを持ち上げていた。
言いつけ通りに下肢を見たまま。
股間の下にある白哉の目は、一護をじっと見据えたままだ。
恥かしくて涙が滲む。

「んっ…あっ…あ、う…っ」

片手の空いた白哉は、舌と指とで一護の後孔を丁寧に解している。
執拗と言っても良い位に。
ペチャペチャと舐められ、きゅっと揉まれ、白哉の指までもふやける頃。
後孔を弄っていた手と舌が不意に止まった。
先程まで股間の下にあった、白哉の顔が見えない。
下方を向いて何かしらしている。
どうやら懐から何かを取り出している様だ。

「ふん…いちご、か…」
「…えっ…?」

呼ばれた訳ではなかった。
白哉が見ていたのは、一護ではなく『いちご』。

確信的な嫌な予感が、一護を取り巻く。

白哉がゆるりと一護に顔を向けた。
珍しく楽しそうに、『いちご』を一護に掲げる様に。
プツプツを持った可愛らしい、ヘタからコードを伸ばした真っ赤な『いちご』。

「なっ…なんっ…なに…それ…?」
「知らぬのか?こうするのだ」
「ひあっ…ああ、あっ…っ」

解された後孔に『いちご』が捻じ込まれる。
『いちご』からくちゅりと、音が立つ。
いや、この場合一護が立てているのか?
解した甲斐があって殆ど痛みを感じさせず、『いちご』は一護の中にプツンと納まった。
そしてブラリとコードをぶら下げたまま、白哉は一護の袴を直してしまう。

「なに…?…なん…で…?」
「私を鬼だとでも思っているのか?この様な寒い場所で、可愛いお前を裸になぞ出来ぬ。すまぬな、寒かっただろう。暖かい場所へ行こう」

優しい振りして、優しい声で。

「『いちご』がどのような役割を持っているのかも教えてやろう」



鬼だ、と一護は思った。


2005.1.31