Troublemaker












「少将に奥様やお子様なんていらっしゃいませんよ」

「え、でも、先日非番の日に街でお会いしたが・・・」

「何かのお間違いじゃありませんか?」

「いや、確かに聞いた。連れておられた女の子が”エドパパ”と呼ぶのをな」

「ああ、分かりました。それなら多分アイシャちゃんです。その子金髪に青い目の可愛らしい五歳くらいの女の子ではありませんでしたか?」

「確かに、そんな子だったが」

「その子なら将軍の弟さんのお子様ですよ。以前、写真を見せていただいたことがあります」

「将軍の弟?」

「はい。奥様と、アイシャちゃん、それと、もう一人上の男の子が居たはずですが、四人で将軍の故郷であるリゼンブールに住んでいらっしゃるそうですよ」

「奥さんの名前はウィンリィか?」

「はい、そうです。何でも将軍達ご兄弟の幼馴染みだとか」

「・・・・・・そうだったのか」





将軍と街で出会ってから数日後。
あの時の仕返しだと言って、将軍から謂われのない報復を受けていたロイが、一人で黙々と、どこからこんなに出て来たんだというほど大量の書類と格闘していたときの事だった。
絶対に手伝ってはダメだぞ、と将軍から直々のお達しを受けていた司令室の面々は、将軍が席を外した隙に、せめてもの慰みにと、どうしてこんな事態になったのかという、ロイの愚痴を聞いていたのだった。


将軍に妻子がいるという、ロイにとっては何でだか分からないが、衝撃的な事実を知ってから、鬱々としていた時だった。口に出してしまえばスッキリするかと思い、ロイは彼らに事の顛末を話して聞かせたのだ。
勿論、その間も手は休めない。今日中に終わらせろという将軍命令が出されていたからなのだが、とてもではないが終わりそうに無い・・・・。





そして発覚したのは、ロス少尉から告げられた、将軍に妻子は居ないという事実だった。
その途端、ロイの頭の中の靄が晴れ、視界がクリアになった。


なんだそうか。そうだったのか!


それまでの憂鬱そうな顔から、一転して晴々とした表情に変わったロイに、一同は唖然とする。
一体何だというのだ?


その後、何故かエンジンバリバリ絶好調となったマスタング少佐は、将軍に課せられた大量の書類を見事に全て処理し、足取りも軽く家路へとついたそうな。
その報告を受けた将軍が、目論見が外れて悔しがり、新たなる試練を少佐に課すべく動いたのは当然だろう。














  

END










 



おまけとも言えない蛇足的な後日談でした;;;
まあ、エドに家庭を持つ甲斐性は無いということですな(笑)


2009/04/29