永久













寒さが急に入り込んできたように感じて、思わず体が震えた。

どこからも風など吹いてきていないのにどうしたのだろう?

不思議に思いながら、一護はふと窓へと視線を投げる。

「雪・・・?」

無意識に呟かれた言葉そのままに、見つめた窓の先では重さを全く感じさせない

ような雪の欠片が、ひらひらと宙を舞っていた。

今年最初の雪。

暖かい日が続いていた今年の冬は、本当に過ごしやすくて、

異常気象だというのが実感できるほどだったから、この雪は本当に正真正銘

今年最初の、そして、もしかしたら最後かもしれない雪だった。

降り始めたばかりなのか、地面にはまだ少しも積もっていない。

多分積もらないだろう。

その存在は確かにあるのに、何一つ残らない雪。

溶けてしまった雪の儚さに何故か胸を打たれる。










確かに存在していた筈なのに、今はもう何も残っていない時間。

雪と時間とは、どこか似ている。

どちら共失われてゆくのだ。

記憶だけを残して・・・。

「白哉・・・・」

思わず零れたその名に涙が零れそうになる。

自分らしくない感傷に苦笑する。

考えたって仕方がないことがある。

彼とは会えないのだ。もう二度と。

いや、会えるかもしれない。自分が死んだあと。

もしかして行けるかもしれない。彼の居る世界へ。

だが、全てが仮定でしかない。

まだ二十歳を過ぎたばかりの自分が死ぬのは何時のことだろう。

死にたいとは思はない。だが・・・永い。

かつてあった白哉との時間は褪せることなく自分の中にあるが、

その記憶もいつまで残っているのだろうか・・・。

離れている時間が長くなるほどに、その思いが強くなる。

怖い。

白哉を忘れる事が。

そして、忘れられない事が。

どちらも辛く悲しい事に違いはなかった。

忘れたくない、忘れたい。

相反する思いが胸の中を駆け巡り、一護の心を引き裂く。

思いもしなかった。こんなにも逢えない事が辛いなんて。

思いもしなかった。こんなにも白哉を愛していたなんて・・・・・。




いつも突然に、そして優しく、自分に触れてきた白哉の手が懐かしい。

恥ずかしさが先に立ってしまい、いつも素直に応えることが出来なかったけど、

本当は白哉が触れてくるその手の感触が大好きだった。

少しだけ冷たい白哉の手。

その手が徐々に一護の体を熱くしていく気持ちよさをまだ覚えている。

幾度交わしたのか分からないほど白哉と愛し合った。

その時の快感を思い出し、不意に背筋に震えが走る。

思いがけない感覚に一瞬で体が熱くなり、顔が朱に染まる。

白哉を思い出して火照る自分の体が恥ずかしい。

―――――でも。

今もなお自分の心と体を掴んで離さない白哉の存在に、

胸が締め付けられるほどの喜びと苦しさを感じる。

どんな事があっても、自分は忘れられないのだ・・・白哉の全てを。































































「一護」

「んっ・・」

白哉が一護のまぶたの上に口付けを落とし、そのまま下へと降りて唇へと辿り付く。

直ぐに合わされた唇の間から白哉の舌が入り込み、一護の舌を絡め取る。

舌の根から上唇、歯茎の裏側をなぞりあげられて息が荒くなる。

慣れた感覚に体が次の行為を期待しているかのようだった。

最初は優しく軽かった口付けが、徐々に激しいものへと変化していき、

飲み込みきれなかった唾液が口の端から溢れるようになったころ、白哉が離れてく。

長い時間吸われていたせいか、一護の唇はほんのりと赤く色づき光っていた。

生理的な涙に濡れた瞳が白哉の次の行動を追う。

恥ずかしそうにしながらも、次の刺激を待ちわびているのが分かるその無意識の媚態に

白哉が笑みを浮かべる。

何度抱いてもその度に初々しい顔を見せる一護が愛しい。

そのくせ、身体は初めての頃とは違い、自然と白哉を誘うように動くのだ。

そのアンバランスさに白哉の欲望は一層深くなる。

愛しさのままに一護の身体中を愛撫し、熱を煽って行く。

肝心な場所を避けるように、焦らしながら弄る白哉の動きに一護は堪らずに希う。

「白・・・哉っ・・頼む・・・・・からっ・・も・・ぅ・・やっ・・やめ」

「止めて良いのか?苦しいのはお前だぞ一護」

「違っ・・・!焦・・らすなっ!!」

涙をポロポロと零しながら白哉に次の刺激を強請る一護。

触って欲しいとは言えない羞恥に身体が震え力が抜けていく様子がよく分かる。

「ああっ!」

白哉は、突然一護の熱を持って震えていた自身へと指を絡める。

途端に上がる悲鳴に気を良くして、手の動きを速める。

少しひんやりとした白哉の手に触れられ、一瞬縮んだ一護だったが、

すぐさま力を取り戻し、先程よりも更に熱を持って勃ちあがる。

ヒュッと息を飲んで白哉の手の動きを追う一護自身は、直ぐに先走りの液を溢しはじめ、

白哉の手を濡らしていく。

クチュクチュと部屋に響く音が一護の聴覚をも刺激していく。

恥ずかしい・・・・・けど気持ちが良い。

やっと与えられた自身への直接的な愛撫に一護の意識は更に朦朧としていく。

既に普段のストイックな表情はなりを潜め、快感を追う淫らな表情が表に現れていた。

「・・っああぁ・・う・・ん・・・あぁ!はぁ・・はっ・・ぅ」

包み込むようだった白哉の手の動きが少しずつ揉みしだくような動きへと変わり激しくなる。

時折触れる先端への愛撫に一護の背中が跳ねる。

敏感な括れに差し込まれる指先の動きが堪らない刺激を一護へと与えていた。

その度に溢れる液体の量は増えていき、今や茂みを伝って後ろにある蕾までもが濡れていた。

常ならば固く閉ざされているその場所も、先程からの愛撫により綻び、何かを待ちわびている

かのように収縮していた。

そのいやらしくも淫らな動きに誘われ、一護自身への愛撫の手を一時中断し、

白哉の指が一本、一護のヒクヒクと収縮を繰り返す場所へとそっと差し入れられた。

「いっ!・・・やめっ・・・!」

白哉は、思わず制止の声をあげた一護を無視する。

少しだけ抵抗するような感覚があったが、周囲をゆるゆると撫で緊張を解すように促すと、

直ぐに反応した蕾が軟らかさを増す。

その隙を見逃さずに、一旦止められていた白哉の指が再度侵入し、

今度は何の抵抗も無くスルッと中指の付け根まで入れることが出来た。

「・・・あぁ・・・はっ・・くぅ」

指を後ろに入れられた一護は、与えられる愛撫に震え、くぐもった呻きを漏らす。

そして、放置されたままの自身の行き場のない快感に悶える。

無意識に腰を揺らして快感を求めていた一護はとうとう耐えられなくなり、

思わず自身へと伸ばした手を白哉に掴まれ、いやいやと首を振って抗議をする。

「止めろっ!頼むからっ・・触らせっ・・く・・れっ!!!」

苦しさに我を忘れて許しを乞う一護に与えられたのは、願ったよりも強く激しい愛撫だった。

白哉が一護自身を口へと含んだのだ。

「ヒィーーっ・・・ぁっ・・ぅ!」

立て続けに与えられる愛撫に一護の口からは、今度こそ悲鳴が迸る。

ついさっきまでの柔らかともいえる愛撫が、一転して容赦ない責めへと変化する。

自身の先端を舌先でチロチロと舐められ、時に差し込まれる動きに狂ったように一護は首を振る。

荒い息をついて涙を振り乱す一護に頓着せず、白哉は行為を続ける。

白哉は差し入れていていた指を一度引き抜き、今度は薬指と中指2本の指を揃えて入れる。

「くぅ・・・っ・・・・・・・ふっ・・・ん」

突然増した圧迫感に一護は苦しそうに呻くが、中を自在に動き回る白哉の指が、ある一点を

掠めると、途端に感極まったような声を上げ、とっくに離されていた両手を伸ばし、

自身の下半身へと埋めている白哉の頭に縋り付いた。

「びゃ・・くや!・・・・そこ・・やだっ・・・やめっ」

「嫌ではなかろう。お前のここは嬉しそうに私の指を締め付けているし、こちらも蜜が溢れている」

一護の両手は、引き離そうと必死になっている思いとは逆に、白哉の頭を自身に押し付けるように

力が込められていた。

そのため、白哉は一護自身を口に銜えたまま言葉を発する事になったのだが、

それがまた一護に新たな快感を与える。

「やっ!・・・そん・・な・・とこで・・・しゃべ・・んじゃ・・・ねぇっ!」

「仕方がなかろう。お前が私の頭を押さえつけているのだから」

嫌がる一護の言葉など端から聞く耳持たない白哉は、更に煽るようにわざと口を開き一護自身を刺激する。

そのくせ、一護が達してしまわないように根元をやんわりと掴んで締め付けているのだ。

一護は、与えられる前後への過剰な刺激に、今すぐにでも果てそうに全身を震わせている。

その苦しさを分かっているくせに、白哉は無理やり一護の熱を堰き止める。

感じ過ぎている状態が辛くて、一護は更に涙を流しながら白哉に懇願する。

「やだっ!・・・頼むから・・早くしろ・・っよ!」

必至に懇願する一護に薄らと笑みを浮かべながら、白哉は少し焦らし過ぎたかと思う。

「ああぁぁーーー!ひっ・・やっ・・」

突然激しく抜き差しされるようなった指の動きと、先端を強く吸われる自身への強い愛撫に、

一護が悲鳴を上げる。

「・・・あっ・・ひっ・・ヒィーーーー!!!」

腰を激しく上下に揺らして快感を訴える一護。

既に限界を超えていた一護自身は、この刺激に耐えられず、ひときわ強く先端を吸われた時に

白哉の口の中へと弾けた。

どくどくと流れ込む青臭く濃い液体を白哉は躊躇なく飲み込み、更に全てを絞り取るように先端を吸う。

果てた後の敏感な場所へ与えられる愛撫に、力の抜けた身体が細かく痙攣を起こす。

焦らされた末の解放は、一護から力を奪い取り、思考力をも奪った。

焦点の定まらない瞳でぼうっと天井を見上げる一護の目には何も映っておらず、

浅く繰り返す呼吸は忙しない。

「あっ」

息を整える間もなく、突然うつ伏せにされた一護は、何の抵抗も出来ないまま

腰を持ち上げられ四つん這いにされる。

直後、先の愛撫で解された蕾へ再び白哉の指が、今度は最初から三本差し入れられる。

解されていたとはいえ、流石に三本はきつかったのか、一護の口からはから呻き声が洩れる。

激しくはないが、的確に一護の弱い個所を付く指の動きに内部が濡れる。

蕾への愛撫に一護自身は再び力をもち、いつの間にかぽたぽたと蜜を溢していた。

一護は、力なく投げ出されていた腕を持ち上げ、無意識に自身へと伸ばし擦り始める。

先に、その手を止めた白哉は、今回は咎める事も無く一護の好きにさせていた。

無心に自慰をする一護にもう羞恥心は欠片も残っておらず、ただ快感だけを追う。

頃合い良しと見た白哉は、蕾から指を抜き取り、換わりに自身の昂りを宛がうと、一気に貫く。

「うぁぁああっ・・・・!」

今までとは比べ物にならない質量の熱の侵入に一護は叫ぶ。

何度経験しても慣れない不快感と衝撃に、それまで昂っていた欲が萎える。

根元まで一護の中に収めた白哉は、一呼吸置くと前後に腰を使い、抜き差しを繰り返す。

白哉の動きに着いて行けず、体を支えられなくなった一護は、頭を布団に押し付け衝撃に耐えていた。

そんな一護を気遣い、ゆっくりと腰を動かしながら、白哉は萎えてしまったままの

一護の熱に手を絡め、擦る。

すぐに溢れ出して来た蜜が白哉の手の動きに合わせてぐちゅぐちゅと音を立てる。

「ぅん・・・・あっ・・!イイッ・・・・びゃ・・・くや・・・はっ・・はぁ・・も・・」

いつの間にか一護の口からは感じているとしか思えない艶のある喘ぎ声が零れはじめ、

自身からは止めどなく白濁した滴を滴らせていた。

同時に、白哉を飲み込んでいる蕾は更なる快感を得ようとするかのようにキュッと締まり、

白哉自身を痛いほど締め付けた。

「気持ちが良いのか、一護?」

「んっ・・・あっイイ・・くっ」

快感を追う事しか頭にない一護は、聞かれた事に素直に答える。

そんな一護の媚態に誘われるように、白哉の動きが激しくなる。

一護の最奥へと入れたままだった自身を入り口近くまで引き抜き、再び奥へと突き入れる。

何度かその行為を繰り返すうちに、一護の口からは意味をなさない喘ぎだけが零れるようになり、

限界が近い事を教えていた。

直線的な動きから円を描くように変えた動きに、感じる場所を穿たれ、一護の身体が跳ねる。

そこばかりを集中的に突かれて、一護は気も狂わんばかりに悲鳴を上げる。

「もっ・・・無理っ!!イクッ・・白っ・・・・哉ぁっ!!!」

「良い。好きなだけイケ、一護」

懇願するかの様に叫ぶ一護に、白哉が腰と手の動きを早め、解放を促す。

一瞬後、熱を吐きだす前の緊張に四肢に力が入り、背を仰け反らせながら

一護は白哉の手の中で果てる。

一護が果てた時、白哉の熱を引き千切らんばかりの勢いで窄まった蕾に耐え切れず、

白哉も一護の中へとその熱を解放した。

「くっっ」

余りの締め付けに白哉の口からも微かな呻きが漏れた。

勢いよく放たれた白哉の熱は、一護の奥へと叩きつけられる。

その感覚に、一護は背筋にぞくっとした快感が走り、思わず息を止める。

「はっ・・はっ・・・・あっ・・んっ!」

全てを一護の中に吐きだした白哉が、ゆっくりと自身を抜き取る。

その刺激にぶるっと体を震わせ、一護が布団へと崩れ落ちる。

体を支えていた膝からも力が抜け、布団に倒れ込みそうになる一護を抱き止め、今度は仰向けにすると

白哉は足を抱えあげ大きく開かせた。

「白哉っ!もっ・・・ムリ・・・・・・・だっ・・やめっ・・!」

たった今果てたばかりの一護は、白哉の行動に驚愕し、もう嫌だと訴える。

そんな一護の懇願も効果は無く、果てたばかりとは思えない程の固さを保っている白哉の熱が

ゆっくりと挿入される。

長い夜は始まったばかりだった。














全身が弛緩したまま布団に横たわる一護の蕾からは、何度注がれたのか分からない量の白哉の白濁が

トロトロと滴り落ちて、布団に大きな染みを作っている。

流れ落ちるそれを指で掬い取りながら白哉が一護の背中に口付けを落とす。

充血して熱を持ったままの蕾にその刺激は強く、一護は力の入らない身体を震わせる。

「もっ・・や・無理・・・」

掠れて聞き取り辛い声で力なく一護が訴える。

「何もしない。ただ触りたいだけだ」

「んっ・・」

優しく言いながら背中から肩、首筋へと上ってくる白哉の口付けに性的なものは無く、

癒しを与えているかのようだった。

横を向いた一護の唇に口付けが落とされる頃には、一護の意識は殆どなく、

薄く開いた唇からは浅い呼吸音が聞こえていた。

叫び過ぎてカラカラに干からびた唇を白哉は舌で舐める。




身体を清め、新しい布団に寝かせた一護は疲れ果てたように眠っている。

疲労が色濃く表れるその寝顔を見ながら、無理をさせたと白哉は後悔する。

久々の逢瀬に逸る気持ちを抑えられなかったのだ。

一護が相手となると、普段の自分とは懸け離れた感情が湧きおこり、制御できなくなる。

終わりが見えている関係に目を背けるようにして行為に没頭してしまうのだ。

――――――――――― そう遠くない未来。

自分たちは別れなければならない。

それは決まったことで、どうやったって覆すことは出来ないのだ。

だからこそ、逢っているその間は、一分一秒たりとも離れていたくなかった。

愛し足りない・・・・。

だが、何時の日か再び巡り合える日が来る。

その時を待てるだけの時間が自分にはある。

白哉はそう己に言い聞かせる。

静かに目を瞑り自分に誓う。

決してこの手を離さない、と・・・・。



















END










このお話は、以前書いた「陽炎の記憶」と何となく繋がってます。
勿論、↑を読んでなくても全く何の問題もありませんが・・・。
なんか尻切れトンボみたいな終わり方で申し訳ありません;;;
しかも無駄にH長くてすみません(土下座)
白一で初めてのエロを書いてしまった罪悪感(?)で
何が何やら分らなくなってしまいました(涙)
妙に説明臭くて読んでて楽しくないですよね、このH・・・。
やっぱり駄目だなぁ・・・苦手です;;;
だから書きたくなかったんだよ〜〜〜!
なら何故書いたっ!と怒られても文句は言えない。
なんか急に気が向いてしまったのですよ・・・・(汗)
読んでしまった方、本当にすみません!
他のサイト様へすぐさま飛んで口直し(?)をして下さい〜〜(>_<)


2008.1.31