初めての体験 5
「母さん、久し振り。この間の墓参りはなんだか騒がしくなっちまってごめんな」
母の墓前で花を供えたかと思ったら、手も合わせずに立ったまま一護が語り出す。
そんな一護の不作法を嗜めようとした白哉だったが、
何時になく真剣に、あたかも目の前に母が居るかのように語る一護の姿を見て何も言えなくなる。
一護にとって、母・真咲は未だ生きているのだろう。
ふとした瞬間に、普段は微塵も感じさせない一護の中の暗闇が時折垣間見られる事がある。
白哉は、忘れることが出来ない悲しい過去に囚われたままの一護を悲しく思う。
どうしたら。
何時になったら自分を赦すのだろう・・・。
しんみりとした気分で一護の姿を見て感慨に耽っていた白哉の耳に、
思いもよらなかった驚きの言葉が飛び込んできた。
「母さん。今日は俺の大事な奴を連れて来た。朽木白哉っていうんだ。
何の間違いだか知らないけど、男に惚れちまったよ。しかも人間じゃないんだ。
おまけに年齢差も激しいし、極めつけは生きてる世界まで全く違う。
何もかもが違う俺達だけど、好きなんだ・・・・。
今は俺達の家で一緒に住んでる。親父も遊子も夏梨も白哉とは仲良くやってる。
―――凄く幸せだよ、俺・・・」
「一護・・・」
「母さんが俺の命を守ってくれたから今がある。ありがとう。そんでもってごめん。俺だけ幸せになって」
面と向かって聞いた事のなかった一護の『好き』という言葉に胸を熱くする。
いつもは白哉が囁く言葉に『俺も』と返すのも一苦労なのだ。
そんな、人一倍照れ屋の一護の精一杯の告白だったのだろう。
母への報告という形を取った事が一護らしいといえば一護らしい。
嬉しい告白に、それでも、白哉は聞き捨てならない言葉を聞き付け、受け流すことが出来なかった。
「一護。母上に礼をするのは当たり前だが、謝る必要はない。母上がお前を助けたのは、
お前に決して消えない罪悪感を植え付けるためではない。大事な我が子を守りたい一心。
それだけだったのだ。そして、お前が幸福になる事を心から望み、喜んでいるに違いない」
「白哉・・・・」
どさくさまぎれの告白に顔を赤くしながら、ぎこちなく白哉へと顔を向けた一護は、
いつもとは違いどこかあどけなく幼い表情をしていた。
滅多に見られない一護の子供らしい一面が白哉の胸を打つ。
どんなに激しい戦いが出来るほど強大な力を持っていても、一護はまだ子供だったのだ。
そんな当たり前の事に改めて気付かされ、愛しさが増す。
きっと、他の誰にも見せないだろう一護の素顔。
自分だけに与えられた甘い特権に白哉は微笑む。
一護の苦しみも喜びも全て受け止めよう。
そして2人で乗り越え分かち合うのだ。
久々の拍手連載(いつの間に;;;)の続きですが、
何故か暗い話に・・・・(>_<)
基本根が暗いもんでついついシリアス傾向に行ってしまうみたいです・・。
でも、最後は明るくしたいなぁ♪
って、まだ続けるつもりかっ、あたし;;;
2008.10.12