将軍のお遣い 1



「俺のおやつ買うの少佐の罰にしたからな」


ロイ・マスタング少佐が、直属の上司であるエルリック少将からそう言い渡されたのが4日前。
それからというもの、事ある毎にあそこのドーナツが食べたい、だの、
どこそこのケーキは毎日行列が出来るほど人気らしい、等と言われ続け、
態とらしく周囲を見回しては、『何にもないぞ〜少佐』と文句を付けられていた。


当たり前である。


潜入捜査をしている少将の補佐として、連日アームストロング少佐共々有り得ないほど大量の書類を裁いているのである。
昼休みは疎か、ちょっとした休憩さえ満足に取れない状態となっているのだ。
そんなロイに、おやつの買い出しなどに行く余裕が有るわけがない。


将軍の意図は分かっている。
ロイに、ホークアイ中尉の目を盗み、サボってでも買い出しに行けと暗に促しているのだ。
そうでなくては、ロイの将軍に対する侮辱罪(微笑んだだけなのに・・・)への罰にならないからだ。


だがしかし!
赴任して間もない自分でも分かるくらい、ホークアイ中尉は危険な存在だった。
あまり変わらない表情は何時でも冷静そのもので、いかにも上官に忠実で有能な軍人然としているが、ひとたび規律に反するような行動を起こす者が居たならば・・・・・。
目にも止まらぬ早さで抜かれた銃が、安全装置を外された状態でその者へと向けられるのだ。
しかも、その目は真剣で、少しでも動こうものなら確実に発砲されるのは目に見えている。
その対象は部下だけに止まらず、上官だろうが何だろうが容赦がないのだ・・・。


こんなにも隙のない女性相手にどうやって出し抜けと言うのだろう・・・・。





ロイ・マスタング23歳。
酸いも甘いも噛み分けた、と言うにはまだまだ未熟で幼気な青年であった。





初めての鋼の拍手用小話です。
エドが全然出てきませんね;;;
このお話は「Genaral's game」の番外編となっております。
勿論、そんな大層なものではないので、
これだけでも独立して読めるようになってますのでご安心を(笑)
とか言いながらちょっと続いてしまってすみません(>_<)
いい加減拍手で連載って止めればいいのに・・自分(爆)


2008/10/12


将軍のお遣い 2



「どちらへ行かれるのですか、マスタング少佐」

「っ・・ちょっと用を足しに」


全員がそれぞれの仕事に忙殺されているのを目の端で確認し、今こそがチャンス!
と、音もなくそっと席を立とうとしたロイに、ホークアイ中尉の鋭い視線と質問が突き刺さる。


もしかして見透かされているのだろうか・・・。
多少疚しさを感じているロイは、ホークアイ中尉の何気ない質問にも焦ってしまうのだ。
そんなロイの動揺を余所に、ホークアイ中尉は淡々とした姿勢を崩さず、恐ろしい発言をする。


「そうですか。では仕事が立て込んでおりますので1分以内にお戻り下さい」

「1分!手洗い場所も少し離れているしそれはちょっと難しいかと思うのだが・・」

「そうですか。では3分以内でお願いします。宜しいですね?」

「わっ、分かった」


有無を言わせないホークアイ中尉の視線と口調に、ロイは反論することも出来ず、ただコクコクと顔を縦に振ることで了承の意を伝える。
心中で、もし大便だった時はどうしてくれるのだ。等と少し品のないことを考えていたのは秘密である。
兎にも角にも、席を立つ切っ掛けは作れた。後はどう切り抜けるかが問題だ・・・。
と、言うよりは、そちらの方が確実に大変であることは間違いない。


そう。
連日の少将閣下からのチクチクとした口(笑)撃に耐えきれず、とうとう決心したのだ。
仕事をサボって将軍のおやつを買いに行くと・・・・・。
間違っても少佐の地位にある者がするような事ではない。



ロイ・マスタング23歳。
上官からの理不尽な嫌がらせに太刀打ちできない可哀想な青年であった。





将軍のお遣い2話目です。
ロイがヘタレ過ぎて何とも・・・・。

もう少し続きます〜v


2008/10/12


将軍のお遣い 3



司令室を出てから早足で歩いていたロイは、ようやく日の光の届く場所へと辿り着いた。
その時点でホークアイに3分以内に戻れと言われてから既に1分以上が過ぎていた。

それでも、奥まった場所にある司令室から通常なら5分ほどかかって辿り着く司令部の入口である。
どれだけ早くロイが歩いたかが分かるというものだ。
それでも息が切れていないのは若さというものだろうか。

安堵したのも束の間。後2分弱で出来るだけ遠くへと行かなくては、と焦る。
何故か分からない強迫観念に押されて、ロイは更に歩を進めた。
その時である。
つい先程聞いたばかりの質問を再び受けたのは・・・。



「マスタング少佐、どちらへ行かれるのですか?」

「何?」

「どちらへお出かけでしょうか、とお聞きしております」


生真面目そうな顔をした中年の男性兵士だった。
少佐という地位にあるロイにも臆することなくきびきびとした話し方が好感が持てる。
だが、歩哨の仕事にそんなものは含まれていないのは周知の事実であり、歩哨もまたそれを心得ている筈だ。

だからこそ、思ってもいなかった事態にロイは驚く。
しかも、何処に行くのかと聞かれたのだ。
何となく嫌な予感に襲われながらもロイは聞かずにはいられなかった。


「何故その質問に答えなければならない?」

「ホークアイ中尉より、万が一マスタング少佐がこの司令部から出て行くことがあったら
必ず行く先を尋ね、引き留めろと命令を受けました。
また、少佐が私の質問に答えずに出て行かれる事があれば、
直ぐにホークアイ中尉にお知らせせよとの命も受けております」

「―――――――――っ」


ロイは用意周到なホークアイの手際に絶句する。
そして悟った。
このまま外に出ても出なくても自分は危険だと・・・・・。
ホークアイに、この歩哨にロイを足止めさせる気は全くない。
ただ、警告をしているのだ。

出掛けたらどうなるか分かっていますね、と・・・・。


正に、前門の狼(エルリック少将)、後門の虎(ホークアイ中尉)とも云うべき状況に冷や汗が出る。


どうしたら良いのだろう・・・自分は。



ロイ・マスタング23歳。
おやつの買い出しに悩む自分は、本当に佐官なのだろうか?と。
自らの存在を疑わずにはいられない哀れな青年であった。


2008/11/5



将軍のお遣い 4



「買い出しに行ってくる」

「はっ?」

「将軍命令だ。街まで買い出しに行ってくる」


ロイは開き直った。
どちらにしても自分の運命は決まっている。
今、司令室に戻ってもホークアイ中尉に死ぬ目に遭わされるのは間違いない。
どうせ痛い目に遭うのなら一回で良い。
少なくとも買い出しに行った事実があれば少将には文句を言われなくなるだろう。
ならば今は外出しよう。そう決心した。


「買い出しですか?あの、失礼ですが勤務中に何を買いに行かれるのですか?」

「エドワード・エルリック少将のおやつだ」

「おっ・・おやつ?」


軍の中枢である場所での軍人二人の会話だろうか?
職務に忠実な兵士は、堂々とした態度のロイの口から飛び出すアホのような言葉に絶句する。
”おやつ”?
何故少佐ともあろう者が将軍命令でおやつを買いに行かなければならないのだろうか?
はっ、もしかして何かの暗号だろうか?そうでなくては納得できない。
あまりの出来事に大混乱中の兵士は、だから少しだけ隙が出来てしまった。
その瞬間をロイが見逃すはずがない。


「あっ、マスタング少佐!お待ち下さいっ!」

「ホークアイ中尉には街に出かけたと伝えてくれ」


歩哨という職務柄、その場を動けない兵士は、ロイを只見送ることしか出来なかった。
そして思った。
本当におやつを買いに行ったのだろうか・・・と。
兎に角、引き留めに失敗したからにはホークアイ中尉に報告しなければ。

『マスタング少佐は街へ少将のおやつを買いに出かけました』

・・・・と。やっぱり何かの暗号だろうか?





ロイ・マスタング23歳。
腹を据えたからには後は任務を遂行するのみ。
後のことは考えない。
・・・・・考えたら恐ろしさのあまり何も出来なくなる。
開き直ったは良いが、やはり情けない思いに駆られるお年頃だった・・・・。


2009/06/05


7ヶ月も間が開いてしまってすみません;;;
いい加減拍手放置しすぎですよね・・・・(>_<)
短くまとめるのが激しく苦手なんです!って、言い訳してみたり(汗)



将軍のお遣い 5



「そう、分かったわ。ご苦労様」

「あの、中尉。お聞きしても宜しいでしょうか?」

「何かしら?」

「おやつと言うのは何かの暗号なのですか?」

「いいえ、違うわ」

「では、マスタング少佐は本当におやつを買いに出掛けたのですか?」

「ええ、そう」

「はあ・・・そうですか」


勇気を出して疑問を投げかけた兵士が得たのは、やはり信じがたい事実だった。
スッキリとしない表情のまま退出した兵士はその後も悩むことになる。
左官である少佐が何故?・・・と。


困惑した顔の兵士から報告されたマスタング少佐の行動に、ホークアイの瞳がキラリと光る。
いつかはやるだろうと思っていた事なので、特に動揺はないが、その行動を容認する事は出来ない。
ホークアイはペナルティを覚悟しているだろう少佐へ思いを馳せる。

―――どうしてくれよう。





『こっ怖い』


冷徹な表情で考え込むホークアイを見て、司令室の面々は凍り付いた。
それと同時に思う。
よくやったなーマスタング少佐!!!凄い度胸だ、と。
ただ、その見返りは恐ろしい懲罰だということは分かっているのだろうか?とも思う。
何にせよ、後数時間もしない内にこの司令室に血の雨が降ることだけは間違いない。

とばっちりを受けtないためにも、出来るだけ遠くに避難せねば・・・・・。



思わず目と目を合わせて心で会話する司令室の面々の団結力は鋼よりも堅かった。





ロイ・マスタング23歳。
己の与り知らないところで司令室の団結力を堅くしたことも、一兵士の困惑を助長したことも、
更には与えられるペナルティが熟考されていることも未だ知らない(考えたくない)、午後のひとときだった。


2009/06/05


ロイに一体どんな罰が与えられるのかは神のみぞ知る、ですかね(笑)?



将軍のお遣い 6



気のせいなどではなく、確実に笑われている。
おまけに、前後から突き刺さるような好奇心に満ちた視線が注がれているのも凄く感じる。
ロイとしては、なるべく目立たないように視線を誰とも合わせず、静かにしているつもりだったが、軍服を着ている時点でその努力は全くの無効だろう。
ロイだってそんなことは分かっている。
おまけに、残念(?)な事にロイは女性達が無視できない魅力的な容姿の持ち主でもあるのだから尚更だ。
内心で苦々しく思いながら、ロイは一刻も早く用件を済ませてここから退散したいと願っていた。


場所はシティで人気のテイクアウト専門のドーナツショップ。
夕方の時間帯ということもあってか、沢山の人間が列をなしてして購入の順番を待っていた。
そして、その殆どが子供も含め女性だった。
それはそうだろう。
夕方とはいえ、大多数の仕事の就業時間には未だ早く、逆に主婦にとっては買い物の時間。
子供にとっては学校帰りの楽しい寄り道時間だ。


何故、この時間帯に抜け出してきてしまったんだろう・・・・。
自分の失態が悔やまれる。
とはいえ、司令室の状態を見ての脱出だったのだから仕方がない。あの時が最良だったのだから。
せめて、店がインショップだったならまだ良かったのに。
よりによって何故アウトショップなのだ・・・・。
それもこれもエルリック少将の陰謀だとしか思えない。
何故ならば、将軍に渡されたリストのトップにこの店が載っていたのだから・・・。


憎い・・・・・・・・・けど憎めない。


エルリック少将に完璧に誑かされている、どこまでいっても情けないロイであった。





「次の方どうぞ〜」


ようやくロイの番が回ってきたときは、列に並んでから既に15分が経過していた。
人気なのはよく分かるが、その間ロイが感じていた羞恥は、他の者には分からないだろう。
やっとこの状態から解放される。ホッとしながらカウンターの女性に向き合ったロイは、並んでいる間に決めていた注文をする。


「全種類を2個ずつ頼む」

「全種類ですか?30個ありますから、全部で60個にもなりますがよろしいですか?」

「構わない」

「かしこまりました。ありがとうございます!」


そう。あれこれ悩むのが面倒で、ロイは兎に角全種類を買っていくことに決めたのだ。
これで、将軍もあれがないこれがないと文句を言うこともないだろう。
あくまでも将軍の顔色を伺うしかない、なんとも不憫なロイである。


また、2個ずつ注文したのは他でもない。
当然、全種類1個ずつは将軍に渡し、残った30個は司令室の面々に食べさせようと思ったのだ。
どうせ、自分が将軍のためにおやつの買い出しに出たことはバレているのだ。
それならば、こそこそと隠れて行動しても意味がない。
気前よく差し入れをしてやろうじゃないか。
勿論、理由はそれだけではないが。


「ちょっと、凄いわね、あの軍人さん。そんなにドーナツが好きなのかしら」

「ホントね。仕事抜け出してまで買いに来てるんですもんね。でも、さすがに自分1人であんなには食べないわよ。きっと家族へのお土産なんじゃないかしら?」

「そうだとしたら凄い大家族ね」

「フフフ。何だか可笑しいわね。軍人さんが甘い物を食べるなんて」


聞こえてるぞ。
いい加減、この状態にも慣れてきた、というより諦めたロイだったが、多少の勘違いがあるとはいえ、ほぼ正確に推察された上に、言葉にして改めて笑われるとかなり恥ずかしいものがある。
頼むから早く梱包してくれ。


そんなロイの心の叫びが届いたのか、思ったよりも早く商品が手渡された。

美味しさと巨大さで大人気の店のドーナツ60個は、想像していたよりもボリュームがあった。
両手で持ちきれないほど大きなお菓子の袋を抱えた軍服姿のロイは、なんとも滑稽だった。





ロイ・マスタング23歳。
苦行の20分間。ずっと笑われ続けた挙句、この先に待っているのは褒美ではなく、恐怖のホークアイ中尉による懲罰である。割に合わない仕打ちに泣けてくる。そんな夕暮れ時の出来事だった。


2009/06/17


いい年した大人が仕事中におやつの買い出し。
そりゃ、笑われますなぁ(笑)
しかも、無駄に顔が良いものだから注目されまくってるのが又笑えるのですv



将軍のお遣い 7



「しょ、少佐?マスタング少佐でありますか?」

「勿論。私以外の誰に見えるというのだ」

「はっ、そ・・そうですね。いえ、あの。申し訳ありませんでした。お通り下さい」


堂々と正面から出て行ったロイは、帰ってくるときも堂々と正面から入ってきた。
完璧に開き直ったロイは、自分がどう見られているかなどどうでも良かった。
早い話がやけくそである。


歩哨である彼が戸惑うのも無理はない。
仮にも佐官である人物が、甘い香りのする大量の大袋を何個も持って中央司令部の通路を堂々と歩いてるのだから・・・。
そんなおかしなロイの態度に一番被害を被ったのは、先の歩哨を含め、巡回や伝令に従事していた軍人達である。
何故この人は平然とした顔でこんな常軌を逸した行動を取っているのだろう?
あまりにも異様なのに、あまりにも平然とし過ぎている為に、声を掛けることも正視する事もできない・・・・。
道行く彼らは皆一様にロイから視線を外し、自分は何も見なかったと言い聞かせながら遣り過ごしていた。
そしてやっぱりエルリック少将の部下には変わった人物が集まるんだな、と改めて認識するのだった。


そう。
中央司令部では有名な話だった。
エルリック少将率いる司令室のメンバーは、少数ながら変わり者揃いだと。
勿論、その筆頭は少将その人であるのは間違いない。





「3分以内にお戻り下さいとお願いしたはずですが。マスタング少佐?」

「ホ、ホークアイ中尉。約束を破ったのは申し訳なかった。だが、済まないがその銃口を下げてくれないだろうか」

「そうはいきません。少佐には色々とお聞きしたいことがありますので」

「いや、聞きたいことがあるなら何でも話す。だから銃は必要ない」

「必要か必要でないかはこちらで判断します。少佐は私の指示に従って下さい」

「・・・・わっ分かった」


中央司令部に戻ってきたときの堂々とした姿は、自らの所属する司令室に近づくにつれ、段々と力強さが失われていき、ロイがようやく司令室の扉の前に立ったときには少しばかり顔が青ざめていた。
数秒後、両手が塞がっているため中の人間に扉を開けて貰おうと、意を決して口を開いたときだった。
音もなく開いた扉の前に、ニコリともせずに立ったホークアイ中尉が目に入ったのは。
そして、当然のようにその手には銃が握られており、安全装置が外された状態で、ロイのこめかみへと当てられた。
そうして先の会話へと続いて行ったのだった。


予想していたとは言え、予想以上に迫力満点で、一応上官であるロイの願いも却下するホークアイ中尉が恐ろしい。
もしかしたら学校から帰った少将が居るかもしれないという、ロイの淡い期待は脆くも崩れ去り、少将の姿はそこにはな無かった。
つまり、ロイを救えるかもしれない唯一の希望は無くなったわけだ。



恐れていた報復が遂行されるまで後少し。

一体、これから自分はどうなってしまうのだろう・・・・。

凍り付いたような足をどうにか動かし、ホークアイ中尉に促されるまま、ロイは室内へと入っていった。





ロイ・マスタング23歳。
約束を破った者には、それ相応の罰が与えられる。当然の事だが、それが自分に当て嵌められるのかと思うと戦慄が走る。
何しろ罰を受けるのは自分であって、与える者は誰あろう恐怖のホークアイ中尉なのだ。
二十歳も過ぎた自分が何故部下である女性にそんな目に遭わされなければならないのか。
理不尽な境遇に悲しくなる、そんな黄昏時の出来事だった。


2009/07/4


相変わらず可哀想なロイをお送りしております(笑)
どこまでお仕置き話を引き延ばせば気が済むのでしょうか、私は;;;
と、言うよりは、実はロイがこんなに恐れるほどのお仕置きが思い浮かばなくて困ってます(爆)
う〜ん・・・・どうしよう;;;



将軍のお遣い 8



「お帰りなさい、マスタング少佐」


マリア・ロス少尉は、喉元まで出かかったその言葉を思わず飲み込んでしまった。
彼女の視線の先には、甘い香りのする大量の荷物を両手に抱えて、ホークアイ中尉に連行(?)されているロイがいた。
銃を突きつけられ、犯罪者のように悄然とした表情で歩く姿は何とも情けなく、思わず同情してしまう。
確かに仕事中に抜け出して、買い出しに出掛けたのは良くないとは思う。
思うが・・・・。何もここまでしなくても・・・。改めてホークアイ中尉の恐ろしさが身に染みたロス少尉であった。


ロイが自分の席に着席して周囲を見回すと、何故かそこにはロス少尉の他アームストロング少佐しかいなかった。皆は何処に行ったのだろう?
それに、自分が抜け出すときはあんなに大変だったのに、何故他の奴らは皆一斉に居なくなることが出来たのか。
事件だろうか?それにしてはホークアイ中尉とアームストロング少佐が居るのはおかしい。
なんとも不可解だった。
疑問は解決するに限る。
未だ銃を突きつけられたままだったので、恐る恐るの発言だったが・・・・。


「あーホークアイ中尉。その・・・他の者は皆何処に行ったんだ?」

「何故か突然集団で腹痛を起しまして、ついさっき出て行きました」


嘘だ。絶対に嘘だ。
そろそろ自分が帰ってくる頃合いとみて、結託して避難したに違いない。
恐らくアームストロング少佐は決裁書類が多すぎて抜け出すに抜け出せなかったに違いないし、
ロス少尉は元から逃げるつもりは無かったのだろう。
その二人は、気まずいのか、ロイと目を合わせようともしないで、自らの仕事に専念している。
フリをしている・・・。
恐らく耳だけはダンボになっていることだろう・・・・。

それにしても、奴らはよくもタイミング良く逃げ出せたものだ。
――― 但し、覚えてろよ、お前ら。


「さて、マスタング少佐。随分と長いお手洗いでしたが、どちらまでいらしたんですか?」

「うっ、その街まで・・」

「そのようですね。歩哨の兵士から報告を受けました」


分かっているらな聞かなくても良いのに・・・・。でも言えない。


「次に、何をしに街まで行かれたんですか?仕事を放り投げて」

「・・・・将軍のおやつのドーナツを買い出しに。その、中尉。仕事を抜け出したのは悪かっ・・・」

「おやつですか?それも報告を受けましたが、何のために将軍のおやつを
買い出しに行かなければならなかったのですか?執務中に」


こっ怖い;;;
言葉は丁寧だが目は笑ってないし銃はそのままだ・・・・。
少しでも身動きしたら、安全装置の外されたその引き金が引かれそうで恐ろしい・・・。


「うっ、そ、それは将軍に命令されたからであって・・」

「おやつを買いに行け等という命令をまともに受け取ったと言うのですか?」

「・・・・あっああ、そう・・だが」

「話になりませんね。そのような馬鹿な命令を遂行するなど」

「だが、仕事が終わってからでは店が閉まっているし、休みは無いし。
そうなると、ああも毎日責められては抜け出すより仕方がないと思うのだが・・」

「そんなものは適当に聞き流しておけばいいのです」


確かにホークアイ中尉ならそれが出来るだろ。いや、寧ろそんなことを言い続ける将軍を叱責し、
反省を促すことまで出来るかもしれない。
だが、自分には無理だ・・・。


「分かりました。言いたいことはそれだけですか?少佐」

「うっ、いや、その・・・」

「まだ何か?」

「・・・・いや、無い」

「では、少佐には執務を投げ出して勝手な行動を取った罰として、
買ってきたドーナツを全てご自分で残さず食べて頂きます」


何だとーーー!!!
それは無理!絶対無理!頼むからそれだけは許してくれ!
あまりの事に、恐ろしさを乗り越え、ロイはホークアイに陳情をする。


「いや!いや、ちょっと待ってくれ、中尉!私が買ってきたドーナツは全部で60個だ。
将軍の分30個と、君たちへの差し入れの30個だ。それを1人で平らげるのは無理だ!!!」

「そうですか。では、少佐には将軍の分30個を全て食べて頂きます。
残りの30個は私たちがありがたく頂きます。それで宜しいですね」


30個だって無理に決まっている・・・・。
何しろ、買ってきたドーナツは直径が15センチもあり、その厚みたるや相当な物なのだ・・・。
だが、恐らくこれ以上の譲歩は望めないだろう。腹を括るしかない。


「わ、分かった」

「結構です。ただし、ご自宅に持って帰ったり、誰かに差し上げたりしては駄目です。
必ずご自分おひとりで平らげて下さい。勿論、食べながら仕事もして頂きます。
書類を投げ出してまで買いに行ったんですからさぞや美味しいことと思いますし、
糖分を取れば脳の効率も上がるのでは?」


・・・・・・・・・つまり、食べ終わるまで帰るなと言いうことだ。
元より、家に帰れるとは思っていなかったが、まさか30個ものドーナツを食べなくてはならなくなるとは・・・。
しかも、今の説明を聞いていると、このドーナツは将軍の口には1つも入らないという事に・・・・。


はあぁぁぁ・・・・・・。


―― もう泣きたい。





ロイ・マスタング23歳。
罰を受けるとは思ってはいたが、まさかこんな仕打ちが待っていようとは・・・。
これでは将軍のために買ってきたドーナツが何の役にも立たないどころか、新たな台風の目になりそうな予感がする・・・。
疲れ切って思考力が無くなってきた。世の中ってこんなにも辛いモノだったろうか?


2009/08/1


ロイのお仕置きは、考えた末にドーナツ全部食べにしましたv
でも、あまりにも可哀想なので、ノルマは半分に減らしてあげました;;;
あたしだったら気持ち悪くて死んじゃうかも(>_<)
まだ続きます〜。



将軍のお遣い 9



ロイが司令室に戻ってから20分後。
恐る恐ると言った表現がピッタリの様子でドアが開かれ、フュリーの顔が現れた。
明らかに貧乏くじを引いたと言わんばかりの情けない顔で覗いた室内には、既に外出から戻ってきた
マスタング少佐が自分の席に座り、ドーナツを食べながら仕事をする姿があった。


少佐と中尉の血の惨劇はどうなったんだろう?もう終わっているんだよね?
フュリーが扉を半開きにしたまま1人で頭を悩ませていると、後ろで待っていたハボックに突き飛ばされた。
いつまで経っても室内に入る様子がないフュリーに、どうやら室内にはマスタング少佐が帰っており、
更には、思ったより事態は良好らしいと判断したらしい。
蹴躓くようにして入室したフュリーに続き、ハボック、ファルマン、ブレダが入ってくる。
そんな彼らにロイ以外の視線が突き刺さる。
ロス少尉には呆れた視線を。
アームストロング少佐には恨めしげな視線を。
ホークアイ中尉には冷徹な視線を向けられた。


そして。
ハボック達に目もくれず、ドーナツを頬張りながら仕事をするマスタング少佐。
室内には発砲された後もなければ、格闘した後もなく、マスタング少佐には目に見える限り少しの負傷も見あたらなかった。
よく見ると、マスタング少佐のみならず、ロス少尉やアームストロング少佐、あまつさえ、ホークアイ中尉までが机の上にドーナツを並べ、時折つまみながら仕事をしているではないか。
その、何とも平和な光景にハボック達は驚く。


あれ?血の惨劇は?
あれほどにハボック達がとばっちりを恐れたホークアイ中尉の報復は無かったのか?
そんなはずは無いだろうに。
一体どうしたというのだ・・・・・。


しかし、よくよく見ると何かがおかしい。
マスタング少佐を除く3人は、1〜3個のドーナツを机に並べて食べているのに対し、
マスタング少佐は大きな箱から直接取り出したドーナツを片時も離さず、1つ食べ終わると次。
2つ食べ終わると次。と、休む間もなく食べ続けており、その表情はと云えば、心なしか苦しそうだ。
食べるスピードも、数を負う毎に遅くなっているようだった。


怖い・・・・・・・・。
何だか分からないが怖い・・・・・。


「そんなところに突っ立っていないで中に入ったらどう?」

「たっ、ただいま戻りました。ホークアイ中尉、長時間席を外しまして申し訳ありません!全員戻りました!」

「お帰りなさい」


いつまで経っても動く様子のない彼らに、ホークアイの声が掛かる。
その声に、ようやく我を取り戻した彼らは揃って敬礼し、アームストロング少佐ではなく、
ホークアイ中尉へと報告をする。
この司令室の力関係が如実に表れる光景ではある。





ようやく自分達の机に戻った彼らは、何だか分からないが、今回のマスタング少佐への報復は、
思ったよりも軽く済んだらしいということを悟った。
そうでなくては、何となく空気が重いものの、こんなにも普通の光景は見られないだろうから。


なんだ、だったら危険を冒して脱出劇を演じなくてもよかったじゃないか。
内心、ハボックは無駄に神経使って損したなと思った。
そして、違和感を感じながらも、少しずつ気が弛み始めたハボックは、ついつい調子に乗り、
自ら墓穴を掘る羽目になる。


「よう、ロス少尉。美味しそうなの食べてるじゃないか。もしかしてマスタング少佐が買い出しに行った、
将軍のおやつのお裾分けか?」

「ええ、まあ」

「おっ、やっぱり!じゃあ、俺達にも1つくれよ」

「駄目よ」


聞いたロス少尉ではなく、ホークアイ中尉から返答が返ってきた。
しかも、一切の暖かみを欠いた冷たい口調で。
途端にビクッとなったハボックは、恐る恐る顔を動かし、声の出所であるホークアイ中尉へと視線を向ける。
視線の先には、こちらを見もせずに黙々と仕事をするホークアイ中尉の姿。
今のは幻聴だろうか?
いや、そんな筈はない。
ハボックは頭一杯に疑問を浮かべながら、再びロス少尉へと顔を動かす。
そこには、困惑した顔つきのロス少尉がおり、何やらもの言いたげな様子だった。


「今、ホークアイ中尉は駄目って言ったのか?」

「はあ。そうですね」

「何で?」

「それは・・・・」

「ハボック少尉。あなた達4人は集団で腹痛を起してるんだから、食べては駄目よ」

「えっ、でも・・・それは・・・」

「『それは・・・』、何?」

「いや、もう平気だから・・・」

「急に4人も腹痛を起してるんだから、もしかしたら食中毒かもしれないでしょう。そんな時に更に甘いものなど食べて症状を悪化させたら大変よ。あなた達今日はもう何も食べない方が良いわよ。それと、念のため医療室に行って治療と検査をして貰った方が良いかもしれないわね」

「・・・・・・・いや、大丈夫っす。安静にしてれば治ると思うんで・・・」

「そう?」

「はい・・・」


当たり前だが、どうやらハボック達が仮病を使って抜け出したのはお見通しらしい。
そして、その罰として、セントラルで美味しいと評判のドーナツを1つも食べさせないことにしたようだ。
しかも、この口調だと、仕事が長引いても、途中で夕飯も食べさせて貰えそうにない。


・・・・まあ良い。
寧ろ、このくらいの仕置きで済んで幸いというものだ。
もっと恐ろしい罰が与えられてもおかしくは無かったのだから。


それにしても美味しそうだ。


あれ?でもそうしたらマスタング少佐の罰とは何なのだろう?
見たところ普通にドーナツしか食べてないようだが。

――いや、食べ続け過ぎている・・・・。

ハボックが帰ってきてから、見ていただけで、既に3個目のドーナツを食べている。
少佐が、そんなに甘い物好きだとは聞いていないから、もしかしたらアレが罰なのだろうか?
でも、何か簡単そうじゃないか?
そう思ったハボックがジーッとロイを見つめ続けていると、青い顔をしたマスタング少佐が振り向き、
怒りに燃える鋭い視線がハボックへと向けられた。
その、恐ろしくも危険な視線が語っていた。

覚えていろよ。と・・・・・。





ロイ・マスタング23歳。
7個目のドーナツを食しながら、ロイは誓う。
いい加減、自分だけが虐げられるのは我慢がならない。こうなったら誰も彼も巻込んでやる。と。
意気込みは大変なものだが、その成否は神のみぞ知る。
8個目のドーナツに手を伸ばしながら、思わず込み上げてくるものがある。
まだ半分にも満たない・・・・。
気が遠くなりそうだった・・・・・・。


2009/08/8



今回は可哀想な人をもう一人増やしてみました(笑)
ハボックって弄りやすくて大好きですv
恨み言も言えずに、黙々とドーナツを食べているロイですが、
この先何時間掛けて食べることになるんでしょうかね;;;
まだ続きます〜。


将軍のお遣い 10



「おーっす!皆頑張ってるか〜」

「お疲れ様です、将軍。今日の首尾は如何でしたか?」

「おう、ロス少尉。お疲れ。首尾は上々だ。そろそろ動きがありそうだからな。皆心しておけよ」

「「「「「「「はっ!」」」」」」」


軽そうな口調とは別の真剣な表情にロイ達の気持ちが引き締まる。
この様子からして何か重要な情報を掴めたようだ。
将軍が潜入捜査を開始してからそろそろ10日目。ようやくだった。


昼間に将軍が得た情報の細かな報告がロイ達全員にもたらされ、作戦が次の段階へと動きはじめた。
もう逃しはしない。後は捕らえるのみだ。





「ところで、皆美味しそうなもの食べてるな。俺にもくれよ」

「駄目です」


作戦の詰めが終わって緊張感が溶けた頃、周囲に充満する甘い香りに触発されたエドワードがドーナツを要求した。
だが、ハボック達が拒否られたのと同様。ホークアイの冷たい声が即座にその要求を却下する。
その声は、先程ハボック達に落とされたモノよりも更に気温が下がっており、
氷点下どころか最早永久凍土の冷たさが感じられるものだった。
そんな怒れるホークアイ中尉の様子に気付かないのか、呑気な将軍の発言に拍車が掛かる。


「えっ、何で?」

「このドーナツはマスタング少佐が買ってきた物なので」

「だからこそだろ?俺のおやつ買い出しは少佐が担当だもんな。ようやく買ってきたんだな、少佐」


前半はホークアイへ。後半はロイへと向けて語るエドワード。
だが、その発言はホークアイの機嫌を更に下降させるものでしか無く、エドワードは自ら掘った墓穴を深くしていく。


将軍の顔を見てからずっと、ホークアイ同様、将軍に対して物申したい気分のロイだったが、
ニコニコと機嫌の良い笑顔を自分に向ける将軍に、不本意にも心臓はドキンと跳ねる。
くそぉ・・・・可愛いじゃないかっ!!!
とても年上には見えない邪気のない綺麗な笑顔。この笑顔には勝てない。
多分永遠に・・・・。


今の自分の苦しい状況はこの人のせいだというのに。うーどうしてくれよう・・・。
ホークアイの手前、口を開くことも出来ないロイは、二人の会話を聞いていることしか出来ない。
相変わらずドーナツを頬張っているロイの腹は既に満腹で、これ以上は無理というところまで来ていた。
だが、時折チラッと盗み見るホークアイから無言の圧力を感じると、伸ばす手を止めることが出来ずにいた。
そんなロイの辛い立場を全く理解していないエドワードは、我が儘な子供のように駄々をこねる。
今の状況でホークアイ中尉に対してそんなことが出来るなんて、流石天然な将軍である。


「何で俺のために買ってきたドーナツを俺が食べられなくて、買ってきた少佐だけがあんなに食べてるんだよー」

「執務中に抜け出して買い出しに行くような命令を出す将軍には、上官としての自覚が足りません。
そんな方にはドーナツを食べる資格はありません。同様に、そんな馬鹿な命令を真に受けて
買い出しに行くような少佐には、責任を取って全てを食べていただきます」

「えー!そのぐらい別に良いじゃないかっ。これだけ働いてるんだから少しは息抜きしないと疲れちゃうだろぉ?」

「そういう問題ではありません。どんな理由があろうとも、執務中に抜け出していい理由にはなりません」

「そんな固いこと言うなって、中尉。俺だって少佐だって時々は息抜きが必要なんだからさ」

「将軍の都合を少佐にまで押しつけないで下さい。将軍に命令されただけで、
少佐は別に好きで抜け出したわけでは無いと思います。まあ真に受ける方もどうかしているとは思いますが」


上官に対して何とも恐れ知らずな発言をするホークアイ中尉は本当に凄い。
しかも、将軍を叱責すると同時にロイへの叱責も忘れないホークアイ中尉は更に凄いし、真剣に怖い。
こんなにもホークアイ中尉の機嫌が下降しているというのに、何故将軍は気が付かないのだろうか?
ハボック達は恐ろしくて顔を上げることも出来ず、ただ黙々と目の前の仕事を片付ける。
折角先程集団で抜け出したのに、今この場面に同席していては全く意味がなかった。
こんなことなら大人しく席に着いていればよかった。
そうしたら、少なくともドーナツは食べられたはずだ。
まあ、こんな状況で食べるドーナツの味が分かるとも思えなかったが・・・。
それにしても、これから一体どんな展開が待っているのだろうか・・・。


「兎に角。将軍の口には一口のドーナツも入らないと思って下さい。よろしいですね」

「よくないって!なぁ、中尉。頼むから俺にもくれよー」

「駄目です」

「なあ」

「駄目と言ったら駄目です。これ以上下らない話で潰す時間はありません。仕事をして下さい」

「ヤダ」


将軍っっーーー!!あなたはなんて怖いもの知らずなんですかっ!!!
今まで何度も痛い目に遭っているというのに、何故今日に限ってそんなにも聞き分けがないのか。
二人の会話を聞いている他の者達の寿命が、三年分は縮んだ気がする。
いや、気がするではなく、恐らく本当に縮んでいるのでは???


「いい加減にして下さいと言っているのがお分かりになりませんか?」

「・・・っ!」


ここに来て、ようやく永久凍土並みの冷たさで紡がれるホークアイの言葉に気が付いたのか、エドワードの表情が固まった。

ヤバイ。

調子に乗って深入りし過ぎたか。
ピクリとも表情を動かすことなく、冷徹な視線を自分に向けているホークアイに肝が冷える。
これは危険・・かも。
今ここで止めないと恐ろしい結末が待っているような気がする。
いや、気がするではなく確実にそうなるだろう。
少しだけ冷静になったエドワードは、渋々。本当に渋々、ドーナツを諦めた。


「分かった・・・・」

「結構です。では仕事に戻って下さい」


ツンドラ地帯の気温まで下がった司令室の中で、ホークアイ中尉の強権によりどうにか事態は収まった。
いや、収まったのではなく打ち切られたのだろうか・・・。
兎に角、将軍はとぼとぼと自分の机へと向かい、ホークアイ中尉はたった今の出来事など
無かったことのように自分の仕事へと戻り、ハボック達は凍り付いたまま動けず、
ロイはドーナツを食べ続けた・・・・。


理不尽なお仕置きにエドワードの機嫌は一気に奈落の底へと下降する。
意気揚々と帰ってきたご褒美にドーナツが食べられない上、何故かホークアイ中尉に冷たく怒られた。
何故?自分が何をしたというのだ。そんなに悪いことしたか?俺。


悶々と事態を反芻する将軍の姿は、周囲の者達の恐怖を煽る。
中尉も怖いけど将軍もやっぱり怖い。
この空気をどうにかしてくれと助けを求めようにも、
一番頼りになる筈のホークアイ中尉がその中心人物ではどうしようもなく、
次に頼りになるアームストロング少佐は、大きな体を出来るだけ小さく丸めるようにしているのを見たら希望も失せた。
もうなるようになれ。
ハボック達は達観した。





そして、怒られた挙句に大好きなドーナツを食べられなかったエドワードの怒りの矛先は、
上手いこと事を運べなかったロイへと向かう。
先程のキラキラとした笑顔とは打って変わったきつい表情で自分を睨む将軍が恨めしい。
自分だってこんなにも辛い目に遭っているというのに・・・・。
酷いです、将軍。





ロイ・マスタング23歳。
11個目のドーナツを食しながら、ロイは泣きそうになる。
良かれと思って為した行動が引き起こした悲劇(大げさでなく、ロイにとってはそうだった)
が、これから更なる発展を遂げそうな予感がする。
そして、その予感は外れないのだ。
あの将軍の目を見れば分かる。
俺が悪いんじゃない。絶対に俺が悪いんじゃない。・・・多分。


2009/08/25


ようやく将軍が登場しました〜〜!
のっけからホークアイ中尉に怒られてますが(笑)
大好きなドーナツを食べられなかった将軍の怒りは如何ほどか?
ロイの運命はどうなるんですかねぇ?
逆襲は出来るんでしょうか?

なんか、ここで終わっても良いような気がしてきたんですが、どう思います?
って、こんな所で聞いてどうする、あたし;;;
将軍やロイの報復劇は、また別のタイトルで出しても良いかなぁみたいな・・・。
うーん。ちょっと考えます。
もしかしたらこれで終わりにするかもです。
行き当たりばったり、適当さ満載で申し訳ありません;;;


拍手掲載時のままUPしてますので、誤字脱字等もそのままです;;;
そのうち直すかもしれませんが、今は読み直したくないので放置です(苦笑)
もし、お気付きの方がいらっしゃいましたら、拍手にてこっそりと教えて下さい;;;
その部分だけ直しますので(>_<)


2010/01/09