HAPPY BIRTHDAY














「一兄お誕生日おめでとう!!!」

「一護お兄ちゃんお誕生日おめでとう!!!」


グラグラと揺すぶられながら無理やり起こされた一護の耳元で、遊子と夏梨に鼓膜が破れるかと思うくらいの大音量で同時に叫ばれた。
はっきり言って寝起きの一護には何を言われたのかさえ判然としなかったのだが・・・・。
そこに追い討ちをかけるように迷惑親父の怒鳴り声まで響いてきた。


「あっっーーーー!お父さんより先に言うなんてずるいぞ。遊子、夏梨〜〜〜!!!一護に最初におめでとうって言うのは、やっぱり家長であるお父さんの権利じゃないかーーー!!」

「そんなの関係ないだろ!言ったもん勝ちだっ!」

「そうだよお父さん。あたしだって夏梨ちゃんだって早起きして、一番に一護お兄ちゃんにお祝い言おうって張り切ってたんだから!」

「そんな〜〜〜お父さんは一護のたった一人のお父さんなんだぞ〜〜!一番最初に言う権利があるのはやっぱりお父さんだろっーー!!!」

「そんな事言ったら、あたしだって遊子だって一兄のたった二人の妹じゃないか。当然最初に言う権利はあるっ!!!」

「そうそう、夏梨ちゃんの言うとおり!」

「でもでもでもーーーー;;;」

うるせぇーーーーーー!!!!


起こされてから一言も口を挟む間もなく言い争いを始めた3人に、一護の堪忍袋の緒が切れた。
最初は何がなんだか分からなかったが、自分を蚊帳の外に置いて交わされている会話を聞いていてようやく理解した。
つまりは、今日は自分の誕生日。そのお祝いを誰が一番最初に言うか言わないかで揉めていた訳だ。っていうか、遊子と夏梨が最初に言ってしまったことをバカ親父が大人気なく駄々捏ねてるだけの話だ。


---------くだらねぇ・・・・・。
いや、感謝はしてる。
誰だって誕生日を家族に祝われて嬉しくない者はいないだろう。
多少の恥ずかしさはあるにしろ・・・・。
くだらないのはバカ親父だ。
いい年して自分の子供相手に何本気で拗ねてんだか。自分の父親ながら頭が痛い。
はぁ。と、大きな溜息をついた一護を怒鳴られたことでピタッと動きを止めていた3人が見守っていた。
きっと怒ってる。寝起きにこんな騒ぎを起こしてきっとめちゃくちゃ怒ってる。
遊子と夏梨は一護の叱責を覚悟した。
バカ親父こと一心は、と言えば、これまた飼い主に叱られた犬のようにしょぼくれていた。
可愛くない。


そして一護の口がゆっくりと開く。
ごくり。と、誰かの唾を飲み込む音がやけに大きく響く。そんな静けさの中・・・。



「遊子、夏梨、ありがとうな。嬉しかった」


滅多にないような全開の笑顔で、感謝の言葉を2人に返す一護。
てっきり怒られるとばかり思っていた2人は、思いがけない一護の笑顔と言葉にびっくり。
一瞬の驚愕の後、ようやく喜んでもらえたのが分かると、嬉しくて我慢できず、一護に飛びついた。


「「お誕生日おめでとー!」」


左右から2人に抱きつかれた一護は、衝撃によろめきながらも何とか耐えた。可愛い妹たちが精一杯自分の誕生日を祝おうとしてくれている。その気持ちが嬉しかった。


「あのね、一護お兄ちゃん。あたし今夜はすっごいご馳走作るから楽しみにしててね」

「それと、これ、あたしと遊子からのプレゼント。遊子と一緒に作ったんだよ」

「そうか、ありがとな。遊子、夏梨」


2人の頭を撫でながら礼を言う一護に夏梨から手渡されたのは、一冊のアルバム。
一護の生まれたときから現在までの写真を2人のコメント付で可愛らしく纏めたものだった。
そこに写っている一護はどれもこれも笑っていた。赤ん坊の時は勿論、子供の頃は真咲の隣で。そして遊子や夏梨の隣で。少しだけれど一心の隣でも。
どんな物もこのプレゼントには敵わないだろう。
それは本当に素敵なアルバムだった。
妹たちのプレゼントに感動していた一護に、雰囲気を読めないバカ親父が突進してきたのはそんな時だった。


「ずるいぞ、遊子、夏梨っーーー!!!お父さんも仲間に入れてくれーー!!!」


羨ましそうに体をプルプルと震わせてそんな光景を見ていた一心は、とうとう我慢が出来なくなり暴挙に出た。
叫びながら2人に懐かれてる一護に飛び掛かったのだ。
が、その試みは2本の足による蹴りで完璧に阻まれた。2本の足の持ち主は当然ながら一護と夏梨。一護の右足は鳩尾に。夏梨の右足は顔面に。それぞれが綺麗にめり込んでいる。
---------痛い。
涙を流しながら床に転がる一心。
自業自得。その証拠に誰も同情していない。父親の威厳まるでなし。である。


「ひっ酷い・・・。何するんだ一護ぉ・・夏梨〜」


無駄に頑丈な一心は直ぐに復活して涙ながらに訴える。


「五月蝿い、バカ親父」

と、夏梨。

「鬱陶しいんだよ、バカ親父」

と、一護。


最愛の子供たちから情け容赦のない言葉を浴びせられる一心は、少し可哀想かもしれない。


「抱きつく前にちゃんと一護お兄ちゃんに”おめでとう”って言わなきゃ駄目だよ。お父さん」


流石に父親が気の毒になったのか、遊子が救いの手を差し伸べる。例えそれが一護にとっては微妙なアドバイスだったとしても・・・。
何があっても一心に抱き付かれたくはない・・・・。


「そっか!すっかり忘れてた!ありがとうな、遊子。やっぱり遊子はいい子だなぁ」


ほんわぁ〜と満面の笑みを浮かべて両手を顔の前で組んでる姿は、はっきり言って気持ち悪い。
そんな姿を子供たちがいつもの事だと達観できる日は永遠に来ないだろう。
顔を引き攣らせている子供たちをよそに、一気に元気を取り戻した一心が、ガバァと身を乗り出して一護に迫る。
両脇に遊子と夏梨をぶら下げながら精一杯身を反らせる一護だたが、その効果は殆んどない。


「一護!誕生日おめでとう!!お前は俺と母さんに授けられた初めての愛の結晶だっーー!!」


嬉しくない。
っていうかこれが自分の父親だとは信じたくない。何で母さんはこんな男と結婚したんだ。今までに何度も繰り返し考えていた疑問がまた湧き上がる。
そして、再び抱きつこうとした一心をまたもや叩き伏せる。
それでも、小さな声で礼を言う辺りが一護の一護たる所以だろう。


「サンキュ。バカ親父」


囁くほどの小さな声だったが、確実に一心の耳には届いていた。






五月蝿くて騒がしい誕生日の一日が始まった。
多分これから登校すればチャドや水色、啓吾やたつきなどからも声をかけられるだろう。自惚れかも知れないが、そう思えるだけの仲間がいる。幸せだと思う。
そして・・・・・。





遊子や夏梨には悪いが、実は一護に一番最初に祝いの言葉を告げたのは2人ではない。
今日というか昨夜というか。日付が変わったその瞬間。
目の前に現れたのは白哉。
音もなく降り立った白哉がたった一言一護に告げた言葉。


「誕生日おめでとう。一護」


ふぅわりと笑みを浮かべ額に口づけを。
そして抱きしめる腕の温もり。
何よりも嬉い白哉の訪い。
紡ぎ出される言の葉。



その日、一護は17歳になった。











END










たったの一日で書いた一護誕生日おめでとう駄文。
こんな代物を本当にUPして良いんだろうか・・・。
いや、今更なんですけどね(>_<)
あたし本当に夏休み最終日の小学生ですね・・・・。
ギリギリにならないと手を付けない(痛)
いい加減亀の歩みよりも遅い更新速度をどうにかしなきゃですね;;;

とっとりあえず、これが今の精一杯。
単なるギャグ話になってしまったのが真剣に辛い。
兄様丸きり出番ないし・・・・(爆)
すっすみません(土下座)

2006.7.15