一瞬で心を持っていかれた。





出会った瞬間に呼吸が止まり、彼しか目に入らなくなった。
周囲の喧騒は遠くなり、彼の声しか聞こえなくなった。
世界の全てがモノクロになり、彼だけが色鮮やかに浮び上がった。
不吉とされている萱草色の髪が何よりも美しく見え、
その眼差しから感じられる強い意志に惹きつけられた。





彼が欲しい。





今まで誰にも感じたことが無いほどの独占欲に震えた。
自分の中にこんなにも激しい感情があるなんて知らなかった。
それまで一番大事だと思っていた彼女には、こんな気持ちにはならなかった。
ただ、守ってやりたいと思っていただけだった。
でも彼には・・・・。
誰の目にも触れさせず自分だけをその瞳に映して欲しい。
その唇から紡ぎ出される言葉は全て自分だけに向けられるものであって欲しい。
彼の全てを奪い鎖で繋いでしまいたい。
危険な思考に自分で自分が空恐ろしくなるが、一度頭を過ぎった考えは二度と
消えることは無かった。






でも・・・・彼とは生きる世界が違いすぎる。





彼は旅禍。
いずれは元の世界へと帰ってしまう存在。
もっと違う形で出会えていたら・・・・。
せめて、もう一日でも早く出会えていたら。
もう少し多くの時間を共に過ごすことも出来たかもしれないのに。
考えても仕方の無い現実を一人空しく噛締める。
彼が現世に帰るまであと5日。
今この瞬間から彼だけを見つめて過ごそう。

















「名は?」


既に知っている名だが彼自身の口から聞きたくて問いかけてみる。


「黒崎一護。あんたは?」


打てば響くような返事に心が躍る。


「日番谷冬獅郎」

「日番谷冬獅郎か。変わった名前だな」

「一護というのも結構変わってると思うけどな。でも良い名だ」

「おっ、お前なかなかいい奴だな」


気難しそうに顰められていた表情が、名を褒めただけで思いがけないほど全快の笑顔になる。
自分だけに向けられた眩しいほどの笑顔に胸が苦しくなる。
見た目が子供なので気安いのか、
仮にも隊長である自分に向かって敬語も使わず臆せずに話す一護に
腹が立つこともなく、返って嬉しく思う自分が居た。
永遠にこの時間が続けば良いのに。
たったこれだけの会話がこんなにも切ない。
たいして接点の無い彼との関係がもどかしい。
何故彼は旅禍なのか。
何故自分の元から去ってしまうのか。
何故?
何故!
何故っ!!!





僅かな言葉を交わしただけで、彼はもう他の者の元へと去ってしまった。
その背を見つめながら思う。
どんな手段を使ってでも彼を手に入れる。
例え彼に憎まれても・・・。









END










初めての日一(汗)
おかしい・・・・。
こんなに暗くてひっつんの独りよがりな話になる筈じゃあ無かったのに・・・。
何をどう間違ったのかあたし;;;
しかも短いっ;;;読み応えも何も無くてすみません(^^;
原作読んでて、この二人の接点の無さに泣いた悔しさを自分で解消!
と思ったんですが・・・見事に玉砕(>_<)
返って落ち込みが激しくなった・・・・。
つっ次こそは!!!
リベンジします!

2005.8.17